2001 Fiscal Year Annual Research Report
大都市における消滅に瀕した伝統的方言の記録とデータベース作成
Project/Area Number |
13610496
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Research Institution | The National Institute for Japanese Language |
Principal Investigator |
三井 はるみ 独立行政法人国立国語研究所, 研究開発部門, 主任研究員 (50219672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 文子 独立行政法人国立国語研究所, 情報資料部門, 主任研究員 (90263186)
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Keywords | 伝統的方言 / 危機言語 / 大阪方言 / 東京方言 / データベース / 録音文字化資料 |
Research Abstract |
本研究は,日本語諸方言のうち,大規模な都市化のために伝統的方言が消滅に瀕している,東京と大阪の中心部(旧市街)を対象とし,これまでに収録された録音・文字化資料の整備を行うともに,現在残っている最も古い層の東京方言・大阪方言の談話を多角的に収録して,大都市の失われる伝統的方言を包括的に記録・記述することを目的としている。 本年度は主に,既存の録音文字化資料の整備と,収録のための準備を行った。 1.既存の録音文字化資料の収録内容,フォーマット等についての情報を収集し,本研究において収録すべき内容と,公開を視野に入れたデータベース化の方策を検討した。 2.東京・大阪の収録候補地域において,自然談話の観察を行った。 3.調査の実施に向け,地域の関連団体との連絡を持った。 4.以上から,本研究において収録すべき内容と地域,データベース化の方針の目途を得た。また,録音文字化資料の電子化については,音声の表記法,方言と共通語訳の提示方法,単純で検索しやすいデータベースの構造等に関する方針を立て,それにしたがって,既存の録音文字化資料の整備を進めた。 5.既存の録音文字化資料の入力作業がある程度進んだので,その一部を用いて,方言における副助詞の意味用法の分析を行った。東京・大阪を含む方言談話文字化資料の電子化が,このような研究に有効であることが確かめられた。一方,従来の資料では,収録内容に偏りがあるために,実際には用いられているにもかかわらず出現しにくい表現形式があることもわかった。
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