2002 Fiscal Year Annual Research Report
中国魏晋南北朝の修辞文学における形似表現と玄学表現の分析及び相互関連に関する研究
Project/Area Number |
13610531
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐竹 保子 東北大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (20170714)
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Keywords | 中国 / 魏晋南北朝 / 文学 / 修辞主義 / 形似 / 玄学 / 自然描写 / 形而上学 |
Research Abstract |
1.昨年度の「9.研究実績の概要」の1.に記した、『詩経』以来の「比興」の手法と形似表現との関わり、という課題については、同じく昨年度「研究実績の概要」3.に記した対偶表現を中心とする検討を通して、陸機の賦序に至って「自然を比喩する人事」としての書き方が出現することを突き止めた。『詩経』の「比興」の手法における自然描写には呪詞としての性格が濃厚であり、また「人事を比喩する自然」すなわち「花のような君」にも呪詞性は残存するが、その逆の「君のような花」に至れば、呪詞性は薄くなる。もとより形似的な自然描写に呪詞性が皆無となるわけではなく、むしろモティベイションの一つとして依然重要なはたらきを担っていようが、ただ、呪詞性の稀薄化が描出を格段に自由にすることは確かであろう。以上の考察の一端を、2003年掲載確定の論文「陸機の天人対」(『集刊東洋学』89号)に盛り込んだ。 2.昨年度の「9.研究実績の概要」の3.に記した、連珠ジャンルの研究発表に対する奈良女子大学教授横山弘氏と京都大学名誉教授興膳宏氏からの教示を、今年度は考察の中に組み入れることができ、「陸機「演連珠」五十首の多声性」と「陸機「演連珠」の構成上の特質」という二本の原稿を用意した。前者は一月に投稿済み、後者は三月〆切の学術雑誌に投稿する。 3.東晋の作家とその詩文を年代順に整理し、おおまかに通読した。その中から本研究に関わる重要な作家として、〓闡と孫綽を選び出し、詳しく検討した。前者については「二人の游仙詩人」(『漢文教室』188号)という小論にまとめて2002年に発表し、後者については草稿を執筆している。
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Research Products
(2 results)