2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610552
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
今泉 容子 筑波大学, 文芸・言語学系, 助教授 (40151667)
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Keywords | ブレイク / 複合芸術 / 自己愛 / 肉体 / スペクター / 18世紀 / 詩 / 絵 |
Research Abstract |
この研究の目的は、イギリスロマン派詩人・画家ウィリアム・ブレイクの複合芸術作品において、「自己愛」の概念がどのように描き出されているかを、当時の自己愛論のコンテクストにおいて解明することであった。 従来のブレイク研究は「自己愛」の重要性を認識しながらも、その考察を詩ばかりに限定してきた。ブレイク作品は詩+絵という両メディアが合体した複合芸術であり、ヴィジュアルな面を無視することはできない。本研究では、ブレイクの「詩」と「絵」をべつべつに研究する旧来の方法から抜け出し、ブレイクの作品をふたつのメディアが組み合わされた本来の姿で考察する一方法を示せたと思う。 ブレイク詩が語る自己愛が、どのように視覚化されて絵となったかを分析した。ブレイクの絵にはデフォルメされた肉体がたびたび出現するが、その肉体が、詩で言及される「自己愛」と密接な関係にあることを明らかにした。ブレイク作品のなかで自己愛を具現化するのは、「スペクター」とよばれる登場人物であるが、その人物の肉体がデフォルメされる傾向にあることも、説明がつく。 すでに前年度に、ブレイクの複合芸術作品における「自己愛」が表象されている作品のページ数を特定して、それらのページをコンピュータに取り込む作業を終えていたので、これらのデジタル処理された作品の緻密な検証を行うことによって、詩が語る自己愛がどのように視覚化されているかを解明した。こうして、「自己愛」を軸にしてブレイクの詩と絵の関係が解明できた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 松島正一, 石塚久郎, 鈴木雅之, 今泉容子, 高橋裕子: "越境する芸術家--現在(いま)、ブレイクを読む"英宝社(東京). 184 (2002)