2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610560
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
舌津 智之 東京学芸大学, 教育学部(第一部・言語文学第二学科), 助教授 (40262216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 啓子 東京学芸大学, 教育学部(第一部・言語文学第二学科), 助教授 (40323737)
近藤 弘幸 東京学芸大学, 教育学部(第一部・言語文学第二学科), 助教授 (00302901)
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Keywords | 聴覚 / ジェンダー / 音楽 / 冷戦 / 性暴力 / オリエンタリズム / 結婚 / シェイクスピア |
Research Abstract |
本共同研究の目的は、政治的・文化的・精神分析的な諸相において、上聴覚とジェンダーの緊張関係に光を投じることにある。これは、「まなざし」とその権力性を明らかにした、従来のフェミニズム批評に新機軸を導入するものである。すなわち、「見る」主体と「見られる」客体という、素朴な二項対立には回収されえない多義的な権力作用を明らかにすべく、多様な文学的ないしは文化的な現象に考察を加えた。本研究に通底する間題意識は、以下の二点に集約しうる。1)聴覚に訴える言葉や音声は、人の性差をめぐる自己・他者認識に、どのように関係しているのか。2)そして、そうした広義の「聴覚旨語」の作用は、政治的関係が形成される場、文化生産・消費の場、あるいは心理的経験の場において権力の問題にどう係わっているのか。 これらの問題を包括的に検証すべく、本研究では広範囲のテーマと題材を取り上げた。まず、舌津智之は、20世紀アメリカ文学に焦点を合わせながら、詩的・演劇的な発話がしばしば「浮遊するシニフィアン」を生成し、ジェンダー・アイデンティティの聴覚的な攪乱を促すことに注目した。また、新田啓子は、政治的フェミニズムの知見をふまえつつ、アジア系アメリカ文学/文化を検討し、異なる国家的アイデンティティが交差する場において、「沈黙」が核心的な意味を担うとの結論を得た。さらに、近藤弘幸は、ウィリアム・シェイクスピアからサミュエル・ベケットに至る、さまざまなイギリスの劇作家に着目し、劇場における声が、ジェンダー化された痛みの認識と響きあうメカニズムを明らかにした。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 舌津智之: "反復と刷新-テネシー・ウィリアムズの現在"演劇人. 8号. 78-85 (2001)
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[Publications] 舌津智之: "夏への扉-アメリカ文学にみる冷戦の詩学"アメリカ研究. 37号. 65-81 (2003)
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[Publications] 近藤 弘幸: "Endgame and the Impossibility of 'Perception' : A Preliminary study on samuel Beckett's Dramaturgy"英学論考. 33号. 3-8 (2002)
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[Publications] 新田啓子: "国籍離脱者による国民化の裏物語-合衆国文学研究の文化批評的自己形成とテレサ・ハッキャン・チャ"アメリカ研究. 35号. 39-57 (2001)
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[Publications] 新田啓子: "越境の誘惑と侵犯の恐怖-モダニストの官能政治学の危険な紙一重"英語青年. 148巻6号. 6-9 (2002)
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[Publications] 新田啓子: "性幻想の地政学-人身売買の言説をめぐって"現代思想. 31巻1号. 188-200 (2003)
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[Publications] 新田啓子: "The Cult of True "Negro" in 1926 : Carl Van Vechten's Nigger Heaven and the Poetics of Dissimilitude"Studies in American Literature (English Number). No.1. 65-84 (2003)
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[Publications] 舌津智之(共著): "記憶のポリティックス-アメリカ文学における忘却と想起"南雲堂フェニックス. 334 (2001)
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[Publications] 舌津智之(共著): "アメリカ文学ミレニアム[II]"南雲堂. 504 (2001)
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[Publications] 近藤弘幸(共著): "シェイクスピア-世紀を超えて"研究社出版. 275 (2002)