2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610566
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
太田 耕人 京都教育大学, 教育学部, 助教授 (40168935)
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Keywords | The Globe / Shakespeare / Elizabethan Drama / stage directions / The Rose / stage posts / trap door / upper stage |
Research Abstract |
昨年のシェイクスピアの初期作品から、本年度は英国ルネサンス期演劇全般に対象を拡大し、ト書きについてのデータベースを利用して調査すべき箇所を絞り込んだ。大英図書館で当時の戯曲を150冊あまり調べ、利用価値のないデータを選別し、漏れていた事例を採取した。国内でもファクシミリを利用し、他に約100冊を検証し、資料の信頼性が飛躍的に向上した。用例全体の傾向をみながら、グローブ座とローズ座で演じられた劇を中心に、劇場建築の各部位が具体的にどう用いられたかを検討し、次の考察をえた。 (1)柱の利用の変遷 柱は1600年頃まで、俳優に場所や方向をしめす記号として用いられた。1610年前後には、人がかくれる物陰や、道具や捕らえた人を結わえつける場所として用いられるようになる。時代が下ると、さらにひねりがきいて、柱を人にみたてて、誓いやフェンシングの稽古をしたり、挨拶したりする。 (2)はね上げ戸(trap door)の意味 一般にはね上げ戸は、舞台下の奈落すなわち地獄につながるという宇宙観的な意味づけがされてきた。しかし、網羅的に例を集めると、幽霊・悪魔・魔女などの登場口や墓穴として、地獄と結びつく場合も多いが、地下室や階下など、単に物理的に下方をあらわす例がほぼ同数ある。喜劇では、地獄を意味することは少なく、ジャンルによって柔軟に利用されていた可能性が強い。地獄を連想させるだけで、上演上の必要を吟味しないまま、安易にはね上げ戸の利用が認められてきた場面に、別の上演方法がありうることも立証された。 (3)二階舞台の利用頻度 古版本のト書きに、二階舞台の使用が明記されている場合でも、当該の劇団がある時期に用いた劇場やホールを考えると、二階舞台を利用せずに上演しなければならなかったであろう例がある。このことから、二階舞台の利用を見直す必要が確かめられた。
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Research Products
(2 results)