2003 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀アメリカ文学におけるピューリタニズムの変容-ディキンスンを中心に
Project/Area Number |
13610582
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原口 三郎 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (80046127)
|
Keywords | アメリカ文学 / 19世紀 / ピューリタニズム / 超越主義 / エマスン / ホーソーン / ディキンスン / 自然観 |
Research Abstract |
1.ピューリタニズムの変容を、ディキンスンを中心にして捉えるために、彼女の難解な詩を正確に読むことは当然として、ディキンスンの主要な書簡を訳出することが大事と考え、翻訳をしてきた。それらはディキンスンが詩作の指導を仰いだボストンの評論家のT.W.Higginsonへの手紙、ディキンスンの親友であった新聞社の主筆Samuel Bowlesへの手紙、マサチューセッツ最高裁判事Otis Lordへの手紙、それに身内や友人たちへの手紙である。 2.我が国においては研究書の翻訳が少ないことに鑑み、最も標準的なディキンスン研究書であるPaul Ferlazzo, Emily Dickinson(Twayne)の翻訳を開始し、紀要等に発表した。これは2004年中に上梓予定である。 3.ディキンスンと同時代のニューイングランドの作家たちについて研究を進めているが、まずHawthorneの幻の処女作と言われるFanshaweについて、そのアメリカ的ピューリタニズムの側面について小論を発表した。 4.同じくニューイングランド出身の作家Henry Jamesの有名な"The Turn of the Screw"の幽霊像を詳細に点検し、そこに見られる抑圧された性とピューリタニズムとの関連について、小論を発表した。 5.ディキンスンの父が理事をしていた当時のアマースト大学で学んだ内村鑑三の留学時代のカリキュラムなどを点検し、当時の教育が自然科学を重視する反面、キリスト教の信仰を重んずる宗教的な色彩の強いものであったこと、それらがディキンスンの教育と重なるものであること等を確認した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 原口遼(原口遼は原口三郎の筆名): "評釈 ディキンスンの手紙(3):身内と友人たちへの手紙"文學研究. 99巻. 45-84 (2002)
-
[Publications] 原口 遼: "翻訳と解題 ポール・ファラッゾー著「エミリ・ディキンスン」"文學研究. 100巻. 1-54 (2003)
-
[Publications] 原口 遼: "Henry Jamesの"The Turn of the Screw"の幽霊像の意味-二重の書き手"九州アメリカ文学. 44巻. 45-58 (2003)
-
[Publications] 原口 遼: "翻訳と解題 ポール・ファラッゾー著「エミリ・ディキンスン」"九大英文学. 46巻. 1-54 (2003)
-
[Publications] 原口 遼: "ホーソーンの幻の処女作Fanshaweのアメリカ性"九大英文学. 46巻. 109-116 (2003)
-
[Publications] 原口 遼: "翻訳と解題 ポール・ファラッゾー著「エミリ・ディキンスン」"文學研究. 101巻. 1-64 (2004)