2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610608
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
延味 能都 岡山大学, 文学部, 助教授 (90203679)
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Keywords | ロンサール / カロン / パルカ / 同一表現 / 語彙 / プレイヤード派 / フランス / 16世紀 |
Research Abstract |
本年度は論文一本を発表している。 論文ではロンサールRonsardのオード集5部作中4部作を対象に同一表現の検索を行った結果を論じている。一般にロンサールは同様な表現を多用するが、当研究のように作品を機械可読なテキストの形に変換しないと検索等を行うことが出来ないため、その実体は明らかではない。『オード集第1の書』から『オード集第4の書』までの4詩集を対象に作成したデータベースから同一表現の検索を行った。その結果、m'envoie en la bar que de perdurable exilとm'envoyez en la barque de l'avare nautonnierの二つのよく似た表現を見つけだすことができた。ロンサールのward indexを使用して全作品内での同様な表現を探すことにより、他にも3例を発見することができた。これらの表現は原典批評版を編集したローモニエLaumonier.P.も、関連する表現としては捉えていない。 さらにはロンサールの同時代人であるデュ・ベレーDu Bellayにも同様な表現を探すことによって新たに5例を発見することができた。デュ・ベレーにおけるこれらの表現は、これもまたデュ・ベレーの原典批評版の編者であるシャマールChamard.E.も関連あるものとはしておらず、これらの表現の間にある関連性は指摘されないままになっていた。 さらに、論文では、これらのよく似た表現は二人の詩人の間でも、作品内においても、出現時期が特定の数年間に限られていることを示している。二人の詩人に見られるよく似た表現には古典作品からの影響があることは否定し得ないが、本稿では上記のようにこれまで注目されることのなかった一つの表現形式が存在していることを示した。 なお、2001年度にはロンサールの作品集全20巻全てをスキャンして画像化した。画像資料はCD2枚になり、画像ファイル総数は3200ファイルを越えている。画像からテキストヘの変換は順次行って行く予定である。
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Research Products
(1 results)