2002 Fiscal Year Annual Research Report
中世フランスのトルバドゥール,オジル・ド・カダルスの作品校訂と解釈にまつわる問題
Project/Area Number |
13610614
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
瀬戸 直彦 早稲田大学, 文学部, 教授 (30206643)
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Keywords | トルバドゥール / 中世フランス / オジル・ド・カダルス / オック語 / 抒情詩の校訂 / ラハマン法 |
Research Abstract |
本年度は,研究2年目にして,トルバドゥール,オジル・ド・カダルスのC写本によるテクストの解釈の研究の最終年度にあたり,2002年7月に,メッシナ大学において開催されたAIEO(国際南仏語南仏文学研究学会)第7回国際学会で発表を行った。そしてその反響などを勘案して訂正加筆した,発表テクストを主催者であるサヴェリオ・グイダ教授に同年11月末に送り,2003年末にモデーナのMucchiより刊行予定のActesに収録されるはずである。 また付随的に,その作品を含む,C写本ぜんたいについて,これまでの私の研究をまとめて前書きとして付し,C写本の収録する作品の内容を抜粋して校訂し編集した『トルバドゥール詞華集』(大学書林,2003年1月)を出版した。 以上が研究の成果であるが,もう少し詳細に述べれば,今回の学会の主催者であるグイダ教授が,ちょうど同時期にTrobatori minoriという著作を発表され,これはマイナーなトルバドゥールの作品数編を選んだうえで,詳細な校訂と研究をほどこすというものであり,そのなかにオジル・ド・カダルスの問題の作品も収録されている。私としては,従来から文通のあった教授と直接に知り合うことができ,しかも90年近く埋もれていた作品を同時期に研究・校訂し,その成果を比較するというまたとない機会を,はからずも与えられたことは,ひじょうに幸運であったと思う。そして,私のまったく踏み込むことのできなかった,このトルバドゥールの伝記的な研究、それもきわめて周到で説得的なオジル像を提出された教授の,長年にわたる研究成果の一端を知ることができた。同時に,私の立場としての一写本優先主義ともいうべきものと,イタリアで隆盛をきわめている「新ラハマン法」ともいえるテクスト設定の方法との相違をあらためて知ることができた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Naohiko SETO: "Ozil de Cadartz : une parodie des "arts d'aimer"?"Actes du septieme congres international de I'Association des Etudes Occitanes, Modena, Mucchi. (a paraitre). (2003)
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[Publications] Naohiko SETO: ""Laus Stultitiae" de Peire Cardenal, edition et interpretation de la "fable" de la pluie merveilleuse"romance Stuides in Honor of Peter T.Ricketts. (a paraitre). (2003)
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[Publications] 瀬戸 直彦: "トルバドゥール詞華集"大学書林. xxiv-348 avec 2pl. (2003)