2001 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ現代表象文化におけるパラダイムチェンジの研究
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13610619
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鷲山 道子 (谷川 道子) 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (50038501)
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Keywords | 表象文化 / 演劇 / ドイツ / ハイナー・ミュラー / ブレヒト / パフォーマンス / ピナ・バウシュ |
Research Abstract |
ブレヒトやその後継者のミュラーを中心に、ピナ・バウシュ、アメリカのウイルソンなどまで射程に入れて現代演劇の研究を重ねてきた申請者は、今同はその「表象のパラダイム・チェンジ」の考察をグローバルかつローカルな視野でさらに推し進めることを中心においた。 まず世界の表象文化研究をリードするフランクフルト大学教授ハンス=ティース・レーマンの最新作"Das Postdramatische Theater"は、「ポストモダン演劇」ともいわれる70年代以降の最新の演劇潮流を「ポストドラマ演劇」という新しいタームで分析し直そうという画期的な仕事で日本にも紹介すべきであろうと考え、何人かの若手ゲルマニストと共訳作業を開始し、2002年秋には同学社より刊行予定である。その刊行記念もかねて、また9月28-29日の新潟大学での日本独文学会で彼を中心としたコロキウムや演劇界等々でのシンポジウムも開催すべく、学術振興会の外国人招聘研究者に応募して採用を得た。成果は来年度の業績となろうが、準備作業は今年度の主な仕事である。 第二に具体的な成果として、5月の英文学会で内野儀を司会にした「演劇の研究と実践と批評の間」というシンポジウムに演出家の佐藤信等とともに報告者・パネラーとして参加。また1990年からやっているHMP(ハィナー・ミュラー・プロジェクト)の12年目にあたる2002-2003年にかけて「ハイナー・ミュラー・ザ・ワールド」という動きを現揚にもよびかけて企画し、その一環として11-3月に速続ビデオ・レクチャーも開講、機関誌も4号を発行した。また岡本章の現代能としての演出『<ハムレットマシーン>ドキュメント』にも座談会や寄稿で参加し、論創社から刊行予定、劇作家協会刊行の英語版戯曲集第四巻の(HMPメンバーの一人である)岸田理生作『糸地獄』への解説、ドイツのMetzler社から刊行予定の"Heiner Mueller Handbuch"への"Heiner Mue11er Rezeption in Japan"の寄稿、岩波講座「文学」の第14巻「演劇とパフォーマンス」への寄稿「<演劇>の揚棄?一ブレヒトからミュラーを超えて」等々も、刊行は14年度になろうが実際は今年度の業績である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 谷川道子: "堕天使の娘フウイケーとブレヒトの女性秘書ハウプトマン-ドイツの女性劇作家たちの位相を考えるための究〓"20世紀ドイツ文学をめぐるジェンダー論的考察. 課題番号10610505. 90-107 (2001)
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[Publications] 谷川道子: "<ドイツ文学のプロムナード>:ドイツの演劇(3回シリーズ)"三修社「基礎ドイツ語」. 2.3.4号. 46-47,48-49,42-43 (2001)
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[Publications] 谷川道子: "あのモダニズムはどこに消えたのか-ドイツ前衛演劇と日本演劇の出会い"演劇人会議発行季刊「演劇人」. 1月号. 49-55 (2001)
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[Publications] Michiko TANIGAWA: "Heiner Mueller-Rezeption in Japan"Metzler Verlay "Heiner Mueller Handbuch". (発行予定). (2002)
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[Publications] 谷川道子: "岸田理生-『糸地獄』までを『糸地獄』から"日本劇作家協会編『現代日本の劇作-英語版』. 第4巻(刊行予定). (2002)
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[Publications] 谷川道子: "<演劇>の揚棄?-ブレヒトからミュラーを超えて"『岩波講座-文学』第14巻『演劇とパフォーマンス』. (刊行予定). (2002)
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[Publications] 岡本章編, 谷川道子共著: "『ハムレットマシーン』ドキュメント"論創社(発行予定). (2002)