2002 Fiscal Year Annual Research Report
日独対照構文論のための基礎研究―格,統語構造,結合価を中心に―
Project/Area Number |
13610621
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
成田 節 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (50180542)
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Keywords | ドイツ語の構文 / 動詞の日独対照 / 視点(視座・注視点) |
Research Abstract |
ドイツ語では主語や目的語などによる文構造の明示が必須だが,日本語では述語があれば原則として文は成立し,文構造の明示は任意であるということを再確認し,この観点から(a)ドイツ語における代名詞化と,日本語における「代名詞」(「彼」「彼女」など)の義務的な削除,(b)ドイツ語に他・再帰両用の動詞や自・他両用の動詞が多いが,日本語には自・他両用の動詞は少なく,動詞の形を見れば基本的には自か他かがわかるという相違,(C)ドイツ語の他動詞の「絶対的用法」にみられる行為の焦点化の可能性と,対応する日本語表現の違い,などの言語現象を見直した。日本語に「主語」を認めるかどうかという問題もこの枠内で考えることができる。 昨年度の研究実績報告に「ドイツ語では『動詞的意味』を動詞以外の言語手段で表すことが多いが,日本語では。『動詞的意味』はあくまでも動詞が表す」という観察結果を書いたが,これに関連して今年度は,日本語の動詞表現で表される意味内容はどの程度までドイツ語で表現可能かという問題を検討した。具体的には,ドイツ人学習者用和独辞書の例文の調査,および日本語の文学作品とそのドイツ語訳の比較という作業に取り掛かり,たとえば日本語の「〜テオク,〜テミル,〜テアゲル」などが表す意味内容がドイツ語訳で消えてしまうことが多いということ,あるいは受動文の使われ方の違いなどが特に目に付いた。日本語とドイツ語のテキストの比較対照に関してはさらに,いくつかの観察事例から,ドイツ語の構文にとっては「注視点」が,日本語の構文にとっては「視座」がより重要だというような「視点」をキーワードにした違いを想定しているが,そのような相違が具体的なテキストからどの程度浮かび上がってくるかという問題とも絡めて,さらに考察を進める。なお,今年度は機械翻訳のプロジェクトに参加したが,これは研究とはまた別の観点からドイツ語と日本語及び英語の相違を考える機会となった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 成田 節: "ドイツ語の不変化詞動詞と対応表現-コーパス調査による考察-"東京外国語大学論集. 第65号. 83-97 (2003)
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[Publications] 成田 節: "ドイツ語動詞「前綴り」の分離・非分離をめぐって -ドイツ語授業での説明原理を求めて-"東京外国語大学語学研究所 語学研究所論集. 第8号(印刷中). (2003)
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[Publications] 成田節, 阿部一哉, 時田伊津子: "例文206 -MMTシステムによる独日翻訳評価レポート(研究報告)"多言語機械翻訳システムの評価研究 共同研究報告書 第一分冊 総論・評価変(研究代表者:町田和彦). 125-150 (2002)
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[Publications] 成田 節: "ドイツ語前置詞の用例の機械翻訳評価(研究報告)"多言語機械翻訳システムの評価研究 共同研究報告書 第一分冊 総論・評価変(研究代表者:町田和彦). 165-191 (2002)