2001 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語・日本語の3項動詞における格と語順の実証的・理論的研究
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13610625
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 光演 広島大学, 総合科学部, 教授 (90182790)
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Keywords | ドイツ語 / 日本語 / 格 / 統語論 / 項構造 / 自由語順(scrambling) / 3項動詞 / コーパス |
Research Abstract |
(1)日本語・ドイツ語の小説を収集し,テキストファイルとして整埋し,3項動詞が現れる文を取り出して,格と語順(主格-与格-対格,主格-対格-与格など)を分類した(太宰治『斜陽』,カフカの『変身』ドイツ語原文と日本語訳など)。 (2)データに基づき,3項動詞の意味分類・語順分析を行った。特に,日本語の基本語順は「が・に・を」パタンだと仮定されてきたが,コーパスでは「が・を・に」語順も多数確認された。これは,授与動詞が[動作主(が)>目標(に)>対象(を)]の項構造をとるのに対し,位置(状態)変化動詞は,[動作主(が)>対象(を)>場所/状態(に)]の項構造をとるからである。 (3)データから両言語の3項動詞の語順の共通性(動作主が最上位。有生項が先行する等)と,相違(ドイツ語では短い要素が,日本語では長い要素が先行)を抽出した。 (4)両言語の自由語順の理論的分析を国際雑誌"Linguistic Analysis"(2001)に発表。コーパス分析については,広島言語文化談話会(2002年2月)で「ドイツ語と日本語の3項動詞の格パタンと語順」というテーマで口頭発表した。ベルリン自由大学の国際ワークショップ"Valenzerweiterung-Valenzreduktion im Japanischen und im Deutschen"(日本語・ドイツ語の結合価拡大と減少,2002年3月)でも,"Zur Wortstellung und Argumentstruktur bei dreiwertigen Verben im Deutschen und Japanischen"(ドイツ語・日本語の3項動詞の語順と項構造)という題目で成果を発表した。更に,疑問詞の歴史的・類型的分析を語順との関連で考察した論文を発表し,又,共著で『現代ドイツ言語学入門』を出版し,動詞意味論を考察した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Mitsunobu Yoshida: "Scrambling in German and Japanes from a Minimalist Point of View"Linguistic Analysis. 30・1. 93-116 (2001)
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[Publications] Mitsunobu Yoshida: "Zur lexikalischen Bedeutung der japanischen Partikel ka -historisch und komparativ"Grammatische Kategorien aus sprachistorischer und typologischer Perspektive (iudicium Verlag, Munchen). 1(印刷中). 220-236 (2002)
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[Publications] 吉田光演 ほか4名(共著): "現代ドイツ言語学入門"大修館書店. 235 (2001)