2004 Fiscal Year Annual Research Report
カフカとフロイト-カフカの人格と作品の分析に欲動論と第二局所論を導入する試み
Project/Area Number |
13610627
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
河中 正彦 山口大学, 工学部, 教授 (20035158)
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Keywords | フランツ・カフカ / ジークムント・フロイト / 精神分析 / メランコリー / 超自我 / エス / 内なる声 / 第二局所論 |
Research Abstract |
対外的な成果としては、山口大学「独仏文孛」第26号(2004.12)に「カフカの『判決』における仮面の交換-作品内在的解釈と精神分析的解釈」(II)(p.71-95)、及び「カフカの『火夫』-モティーフと構造」(P.97-127)を発表した。また平成16年10月3日日本独文学会の国際コロキウム(北海道大学AM11:10〜11:40)で<Die Stimme, das Unbewusste und die Interpretation>(独文)なるタイトルでカフカのエクリチュールの特性について発表した。また本年度の課題については、カフカの晩年の『城』を中心に、城とクラムをK.の超自我として解釈し、また『巣穴』の「騒音」を「象徴界から排除されたものが現実界から還帰する」(ラカン)というテーゼから解明した。騒音は、超自我の嗾け(Zischen)であり、自我の内部にあると同時に外部にもあるため、敵の定位が不可能になるのである。『巣穴』は、フロイトの四大分析のひとつ、「シュレーバー症例」のパラノイアの分析に比肩できる要素がある。シュレーバーも幻覚としてシューシューいう音(Gezisch)を聞く。このZischenは同時に、『ヨゼフィーネ』の鼠鳴きPfeifenと表裏の関係にあり、前者は自我に威嚇として感じられ、後者は魅惑として感じられる。これらのテーマを平成17年5月5日の日本独文学会の春季研究発表会で「カフカとシュレーバー」なる題で口頭発表する。
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Research Products
(2 results)