2002 Fiscal Year Annual Research Report
ファシズム政権下におけるイタリア・モダニズム文学の諸相
Project/Area Number |
13610642
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
畑 瞬一郎 東京芸術大学, 音楽学部, 助教授 (70272656)
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Keywords | イタリア / 文学 / モダニズム / ピランデッロ / ファシズム |
Research Abstract |
イタリアにおけるモダニズム文学の旗手とされるダンヌンツィオとピランデッロに焦点をあて、両者の作品を韻文と劇作という二つのジャンルを中心において分析する。これは単なるジャンル上の区別ではなく、そこに表れている時代精神と政治理念を分析するための戦略的分類となる。19世紀末から20世紀にかけて矛盾をはらんで展開していくイタリア社会と同様、閉鎖性と開放性の両極端を行き来し、最終的に均衡を見ることのなかった彼らの文学思想が内包する擬似的な政治思想を描き出し、それがムッソリーニの率いるファシスト党の理念を形成していた開放性と閉鎖性の弁証法と共鳴し、一種の政治的共犯関係を形成していたことを明示しようとするものである。 平成14年度は、ピランデッロおよびダンヌンツィオの作品の精密な「読み」を継続し、そこからファシズム政権あるいは思想に対する両者の思想的位置を探る作業を行っている。とりわけメディアに対する姿勢を、映画に対するアンビバレントな態度、それぞれの政治的プロパガンダあるいは反プロパガンダの手法などの分析を通して探っている。新たに生まれつつあったメディアに対するアンビバレントな姿勢には、芸術や文学生産手法についての思想的特徴が見られるだけではなく、ファシズムという新たな社会・政治環境に対する同様にアンビバレントな態度を見て取ることができる。
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