2001 Fiscal Year Annual Research Report
対称性のくずれと情報生成―日本語、ヒンディー語及び英語の語順と統語構造―
Project/Area Number |
13610669
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
有川 康二 桃山学院大学, 文学部, 助教授 (80299023)
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Keywords | 自然言語 / 自然科学 / エントロピー / ネゲントロピー / 対称性 / 線状性対応公理 / 解釈不能素性 / 照合 |
Research Abstract |
当該補助金を受け、13年度分の成果を"Symmetry Breaking and Economy in C_<HL>" と題して論文にまとめた(桃山学院大学総合研究所紀要vol.27No.22001.12.PP.21〜74)。関連作業として、奨励研究(A)から引き継いだHandbook of Diagnostics in Generative Syntax (出版予定)の索引作りを継続中である。自然言語の自然主義的な研究(自然言語をヒト脳の生物学的な特徴とみる立場)は大きく(1)形而上的自然主義(自然言語研究を自然科学の具体的な理論的枠組みで捉えようとする立場)と(2)方法論的自然主義(経験科学の方法のみを使用して、自然言語の独自の理論を形成しようとする立場)に分けられる(N. Chomsky. 2000. New Horizons in the Study of Language and Mind. pp. 75〜105)。Chomsky はいつの時代においても確固たる「自然科学」理論は存在しないという理由で(1)を破棄し、(2)を採用する。しかし、例えば、情報理論で使用されるようなエントロピー、或いはネゲントロピーの概念は、対称性の概念とともに、(1)の方向での自然言語研究の可能性を示す。実際、「脳の形態が熱対流の原則に従った自己形成である」ことが必然性を持つという研究も存在する(中田力2001『脳の方程式いち・たす・いち』p.106)。拙論では(1)の方向での自然言語研究の可能性を探った。 13年度は日本語と英語を扱ったが、14年度はヒンデイー語を加えた比較分析を行う。関連論文を読み、情報収集を行い、13年度の研究を継続的に発展させたい。特に、線状性対応公理(Kayne.(1994))と解釈不能素性の照合/消去のメカニズム(Chomsky(1995))を吟味していく予定である。
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Research Products
(1 results)