2004 Fiscal Year Annual Research Report
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13610672
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Research Institution | Ritsmneikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
吉本 智慧子 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (70331105)
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Keywords | 契丹小字 / 女真文字 / 契丹小字墓誌 / 契丹横帳 / 契丹国舅帳 / 遼代漢文墓誌 / 契丹人の風俗習慣 / 契丹人の房族世系 |
Research Abstract |
本年度の研究課題は女真文字と契丹文字との比較研究の最終段階につき、契丹小字墓誌の解読につとめることである。契丹小字墓誌に記載された内容は非常に豊富なもので、遼朝一代の史実や契丹民族の風俗習慣などが大量に含まれている。漢文資料に見えないモンゴル人の実像が『元朝秘史』に認められるように、漢文資料からは窺い得ない契丹人の実像が、契丹小字墓誌の解読によって徐々に解明されつつある。契丹小字墓誌の解読成果は遼史の空白を埋める、その疎漏を補うことができる。しかし真に価値のある成果を生み出すことのできる研究者はごく少数である。なぜなら、契丹研究は、文宇の研究と歴史の研究のどちらかに偏っており、且つ前者に関する研究者は世界的にも少数であり、後者に関する研究は従来の漢文史料が限られているために新たな突破口が見出せない。両者を結合させ、契丹小宇と漢文文献双方の研究条件をそなえてはじめて契丹史研究に新しい成果を獲得することができる。研究代表者はここ数年、女真文字解読の成果を基礎に契丹小字を研究し、さらに契丹小字解読の成果を基礎に遼史を考証することで、最終年度では、予期した以上の成果を獲得している。 本年度の研究成果は、(1)20世紀90年代以降に出土された契丹小字墓誌13帙を対象にそれぞれの墓主及び世系に関する研究、(2)これら墓誌に載せる墓主の世系に関わる遼朝政治社会史と民族文化・習俗に関する研究、の二つが主要な内容となる。報告書では、(1)に関する研究成果を『契丹小字墓誌研究』と題として中心的に報告することとするが、(2)についても「国舅大小翁帳族屬問題考」「横帳の本義とその構成」「『遼史』中の匣馬葛」「契丹人の名と字」「契丹及び契丹化漢人の習俗」「蕭朮哲考」「韓徳威・韓徳昌子嗣考」「烏古敵烈部考」としてそれぞれ関係墓誌の考証に附載しておく。
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Research Products
(9 results)