2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610679
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
筑和 正格 北海道大学, 言語文化部, 教授 (50002225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長井 裕子 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (50135604)
古賀 弘人 北海道大学, 言語文化部, 教授 (80234730)
野坂 政司 北海道大学, 情報メディア教育研究総合センター, 教授 (50113600)
清水 賢一郎 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (90262097)
鈴木 純一 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (30216395)
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Keywords | 都市 / 公共圏 / コミュニケーション / メディア / 文学 / 市民社会 |
Research Abstract |
研究計画に従い、本年度は「都市」、「公共圏」、「文学テクスト」の相互関連性に関する理論的および実証的な分析作業を中心に研究は進められた。まず、歴史的な側面から言えば、西欧における近代都市のメディア的な性格の成立は、封建制度の崩壊とともに勃興した市民階層の小規模な文化的公共圏を母体とし、それらがより大きなコミュニケーション・ネットワークへと拡大し、自律化する過程とパラレルな関係にあることを、ドイツおよびイギリスの近代文学・歴史・社会学的テクストをもとに検証した。一方で、アジアにおける都市的なるものの性格は、近代までは、中央(公)からの階層的な構造を有する地域的な共同体の延長と位置づけられるものであり、自律した市民的コミュニケーション・ネットワーク空間としての意識への転換は極めて最近のことで、現在でも進行中であることが主に中国・台湾におけるテクストの分析によって明らかになった。西欧近代都市のメディア的性格とアジアにおける地域共同体的都市という構造比較の妥当性分析は、来年度も継続して進められる予定である。また、これと同時に始められた個別都市分析の作業においては、例えば、現代ニューヨークおよびサンフランシスコにおける新たな対抗的・文化的な公共空間創出の試みとしてのポエトリー・リーディング、文化的コードの記号化と集積シンボルとしての都市の典型的事例であるブリュージュ、政治的・文化的抗争とメディア変容のメカニズムのアレゴリーとしての世紀末パリなどのが扱われ、これらの事例研究は来年度以降に包括的な理論へのフィードバックがなされる予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 長井 裕子: "萌芽期における北京の芸能ジャーナリズム"北海道大学国際広報メディア・言語文化部紀要. 41. 39-60 (2002)
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[Publications] 清水賢一郎: "廃墟のラブロマンス-張愛玲『傾城の恋』"週刊朝日百科・世界の文学. 109. 268-269 (2001)
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[Publications] 鈴木純一: "公共性"北海道大学国際広報メディア・言語文化部研究報告叢書. 48. 93-110 (2002)
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[Publications] 野坂政司: "都市の声(伊藤章編著『ポストモダン都市ニューヨーク』所収"松柏社. 269-306 (2001)