2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本および東アジア圏における英米文学の受容と変容(19・20世紀)
Project/Area Number |
13610682
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
荒木 正純 筑波大学, 文芸・言語学系, 教授 (80015883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 ゆかり 筑波大学, 文芸・言語学系, 講師 (70249621)
南 隆太 神戸市立外国語大学, 外国語学科, 助教授 (60247575)
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Keywords | 英米文学 / 日本 / 東アジア / 受容 / 翻訳 / 教育 / 翻案 / 19-20世紀 |
Research Abstract |
本年度は主に、韓国、台湾、東南アジア方面における英米文学の受容と変容の諸相について基礎的リサーチと資料収集を行った。荒木と吉原は韓国高麗大学校で開催された日本学研究所2002年度国際学術シンポジウムに参加し、外国文学研究という見地から、韓国や日本における日本(語)文学研究と英米文学研究との接点を探った。その結果、日本植民地時代の京城大学英文学教授であり詩人であった佐藤清や日本で英文学教育を受けた詩人鄭芝溶などの人物たちが今後重要な研究課題となることが判明した。南はシンガポール国立大学で開催された国際シンポジアムで発表し、シンガポールやオーストラリアなどの旧大英帝国植民地における英米文学制度と開連づけることにより、本プロジェクトのもつ可能性がさらに拡大することが確認された。来年度の論集刊行へむけて、3回の編集会議を行なった。論集では本プロジェクト構成メンバーの他、前述の佐藤清、鄭芝溶の研究者である佐野正人氏や、日本の英文学制度研究の斉藤一氏などの寄稿を予定している。来年度から、荒木を発案者として『英語青年』(研究社)誌上でアジアの英文学をテーマとした連載を計画し、南は太平洋西岸地域の英文学者と広く連絡をとった。来年度香港で開催される国際比較文学会で荒木を司会とするワークショップを計画、予備的な調査と準備にあたった。南と吉原は、宝塚歌劇団によるシェイクスピア作品上演研究の予備的調査を開始し、本研究を大衆文化の研究に接続する試みを始めた。本プロジェクトは元来英米文学と東アジアをテーマとするものであるが、たとえば植民地時代の日本で英文学教育を受けた植民地出身者の問題、あるいはシンガポールなどの大英帝国による直接の植民地支配を受けた地域とそうではなかった地域における英米文学の持つ意味の違いなど、本研究により可能になる視野はさらに広大であることが判明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 荒木正純: "日本文化研究-その方法論構築の方案"高麗大学校 日本学研究所2002年度 国際学術シンポジウム. (2002)
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[Publications] 吉原ゆかり: "「私たちとは誰であり、研究とは何か」-日本の英文学研究者の立場から"高麗大学校 日本学研究所2002年度 国際学術シンポジウム. (2002)
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[Publications] Ryuta Minami: "The Cambridge Companion to ShaRespeare on Stage"Cambridge University Press. 24 (2002)