2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本および東アジア圏における英米文学の受容と変容(19・20世紀)
Project/Area Number |
13610682
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
荒木 正純 筑波大学, 文芸・言語学系, 教授 (80015883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 ゆかり 筑波大学, 文芸・言語学系, 講師 (70249621)
南 隆太 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (60247575)
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Keywords | 英米文学 / 東アジア / 文学 / 植民地主義 / ポストコロニアル / 翻訳 / 翻案 / 演劇 |
Research Abstract |
論文発行へむけて、調査・研究と発行準備を進め、来年度に予定している国際学会へむけての準備を進めた。 荒木は、日本植民地時代の朝鮮半島で、アイルランド演劇がどのように受容されたのかについて調査した。また、日本で英文学教育を受けた内地人が、朝鮮半島で英米文学教育に従事した例に注目し、英米文学の受容を通して、朝鮮半島と日本の文学がどのように変容したかを研究した。南は、20世紀末における、東アジア圏の英米文学の受容や教育の現状を調査した。また、オーストラリア、ラ・トローブ大学で研修・研究を行い、2006年度国際シェイクスピア学会で企画される「アジアのシェイクスピア」シンポジウムへむけて準備を進めた。吉原は台湾および中国におけるイギリス演劇の上演や受容について調査した。 論文集は執筆者28名(日本、韓国、中国、台湾、アメリカ、イギリス)の協力をえて、国際的かつ学際的なものとなった。芥川龍之介とイギリス文学に描かれたボーア戦争、日本の国文学制度がイギリス文学制度から受けた影響、1920年代・1930年代の朝鮮半島新劇運動にアイルランド演劇が与えた影響、日本に留学した朝鮮半島出身者の英米文学受容、キプリングのインドを背景とした作品と植民地主義、日本人英文学者の植民地体験、日本におけるシェイクスピア作品の受容、日系アメリカ人にとっての英米文学などに関する研究論文が寄稿された。 シンガポール、マレーシア、インド、台湾、中国、韓国などの研究者と緊密な連絡をとり、English Studies Relocated in New Asiasというテーマを設定して、意見交換を行った。高等教育で技術偏重の傾向が強まるなか、英米文学をふくめた人文主義教育が苦境にたたされているという現状には、共通するものがあった。この調査は、来年度の国際学会の準備として位置づけられる。
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