2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610688
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 正和 名古屋大学, 言語文化部, 教授 (10033408)
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Keywords | イギリス文化史 / ロバート・オーウェン / 共同体 / ユートピア / 田園都市 |
Research Abstract |
本研究は、19世紀初頭におけるロバート・オーウェンのニューラナークの実験から20世紀初頭のエベニーザー・ハワードのレッチワース田園都市にいたるユートピア都市共同体の系譜を対象として、ヨーロッパの社会主義運動および田園都市運動が千年王国主義など宗教的メカニズムに裏打ちされていること解析することを目的としている。 この目的を遂行するために、7月31日より8月22日までの23日間にわたり、ニューラナーク、レッチワース田園都市、ウェリン田園都市の3つの都市共同体を対象にして現地調査を行った。7月31日より8月6日および8月15日より8月21日まではロンドンを拠点にしてレッチワースとウェリンの調査を、前者についてはイギリス田園都市の構想者E・ハワードを記念して建設されたハワード・ヘリティッジ博物館及びレッチワース図書館において、後者についてはウェリン図書館において行った。8月7日より8月14日までは、グラスゴー近郊のニューラナークに滞在し、オーウェンの記念碑的な事業である紡績工場及び教育施設の配置等について具体的に確認することができた。その間、ラナーク・カウンティー図書館において貴重なオーウェン関係のコレクションを閲覧することができた。 これらのフィールドワークを通して得た知見及び収集した文献資料をもとに、「ユートピア都市共同体の形成とその宗教的メカニズム」(研究課題)に関する報告書を準備中である。現在の進捗状況は、全体の5分の2まで進んでいる。研究を実際に進めるにともない、本研究の扱うテーマは(当初想定したように)2年で終了できるほど容易なものではないことを実感しており、2003年2月に研究報告書を提出したのち、さらに研究延長を申請する予定である。
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