2003 Fiscal Year Annual Research Report
ロシアとポーランドにおける司法改革の比較研究―制度的拡張と機能的不全
Project/Area Number |
13620004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小森田 秋夫 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30103906)
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Keywords | 司法改革 / ロシア法 / ポーランド法 / 体制転換 / 違憲審査制 / 国際研究者交流 / ロシア:ポーランド |
Research Abstract |
1.2003年7〜8月にロシア(ウラジヴォストーク)において、法廷傍聴および聴き取りを行なった。法廷傍聴は、沿海地方裁判所において同年から始まった陪審裁判を中心とし、ウラジヴォストーク市フルンゼ地区裁判所における刑事裁判、同市ピェールヴァヤ=レチカ地区裁判所における民事裁判をも傍聴、するともに、判決文、起訴状などの資料を蒐集した。両裁判所における裁判官および治安判事の活動を観察しつつ聴き取りを行ない、沿海地方裁判官資格審査会における治安判事候補の審査を傍聴した。また、沿海地方弁護士院院長をはじめとする弁護士若干名から聴き取りを行なった。 2003年8〜9月には、ポーランド(ワルシャワ)において、ワルシャワ管区裁判所における刑事裁判の傍聴、ワルシャワ控訴裁判所、某法律事務所における聴き取り、憲法法廷図書室における資料蒐集などを行なった。 以上については、個人ホームページ(http://web.iss.u-tokyo.ac.jp/~komorida/)において記録を公表するとともに、その一部は、著書『ロシアの陪審裁判』にまとめた。 2.3年間の研究をまとめる作業を行なった。 両国における司法改革は、共通して、第1に、裁判所の管轄の拡大とそれに対応する裁判所体系の整備、第2に、裁判官の独立の制度的保障、とりわけ人事制度の刷新、第3に、弁護士制度の再編を含む裁判へのアクセスの保障、という3つの領域をなすものとして整理することができる。それぞれの領域には各国における歴史的経路をも反映した独自の論理があり、3領域のあいだには跛行性や摩擦が存在する。それらがどのように新たな改革や反改革の動きをもたらしているかを分析することが今後の課題である。
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Research Products
(2 results)