2001 Fiscal Year Annual Research Report
行政機構内部における紛争の裁判的解決に関する比較法的研究
Project/Area Number |
13620018
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村上 裕章 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (20210015)
|
Keywords | 法律上の争訟 / 権限争議 / 地方自治 / フランス法 / ドイツ法 |
Research Abstract |
本研究は、行政機構内部における紛争の解決にあたって、裁判所がいかなる役割を果たすべきかという問題を、比較法的に検討するものである。本年度は主として、比較法的研究の前提となる日本法の状況について整理し(1)、ドイツ法の歴史的検討を行った(2)。 1 日本法の状況 日本法の状況については、現在までの判例及び学説を検討した上で、行政主体間の争訟は「法律上の争訟」に当たり、訴訟の提起を原則として承認すべきであるという結論に達し、その成果を論文「行政主体間の争訟と司法権」で公表した。 また、1999年の地方分権改革で新たに導入された国地方係争処理制度を検討し、特に国地方係争処理委員会及び自治紛争処理委員の法的地位に問題があることを指摘したのが、論文「国地方係争処理委員会と自治紛争処理委員」である。 以上の研究により、比較法的検討の前提作業となる、日本法についての分析はほぼ終了した。 2 ドイツ法の歴史的検討 本年度はまず、ドイツ(特にプロイセン)の地方自治制度の歴史的変遷を原資料に当たりつつ検討した。その結果、1808年のいわゆるシュタイン市制の役割が画期的であること、その後制度的には自治の後退が見られたこと、第二帝政期に再び自治が進展したが、本研究との関係では、この時期に一定の国の行為について自治体からの訴訟の提起が認められたことが特に重要である。 以上の法制度の研究と並行して、第二帝政期からヴァイマル期にかけての学説を検討した。特に、P.Lanbad、G.Jellinek、O.Mayerらの業績が重要であり、LabandとJellinekの間に看過することのできない隔絶があることを確認できた。 ドイツ法については、19世紀前半の学説の検討がなお残っており、来年度はこの作業を終えた上で、できるだけ早い時期にその成果を公表したいと考えている。
|
Research Products
(2 results)