2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13620019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
生田 長人 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80333772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 武志 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50292818)
稲葉 馨 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10125502)
辻村 みよ子 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30158381)
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Keywords | 公法 / 権利関係 / 制度 / 行政事件訴訟法 / ネットワーク運用 / 資源管理 / 財政調節 / 公物法 |
Research Abstract |
本年度は初年度以来の各論的研究の成果の体系的集約を図ることに充てられた。まず主権論の揺らぎ現象は、閣議決定を基本とする統治構造に照らした憲法典の読み直し作業と合わせて検討された。国会運営の理論に係る基本的論点が示されると同時に、主権が広義のVerfassungに帰属するというフランスの古典的学説を再評価すべきであるとの主張に繋がった。続いて政府・市場のネットワーク化現象の法的分析に関しては、各省横断的な人事行政の視角から新たな知見が示された。従来支配的であった労働基本権制約の代償としての単眼的把握を克服し、政府・市場部門にまたがるヒューマンリソースマネジメントの観点から、官民を通じた最広義の人事政策に関する将来的展望が示された。また国・地方関係では、地方公共団体の多元的役割について公物管理費用分担の見地からのアプローチが有用であることが指摘された。ドイツの財政調整に関する判例法理の蓄積を参照しつつ、地方財政審議会の答申を素材としたわが国特有の地方財政実体法の構築が試みられた。最後に研究総括として、公法を「権利関係としての法」に即して構想し、抗告訴訟を妨害排除モデルに擬える従来の方法論に対し、「秩序構造としての法」及び制度保障訴訟からなる公法理論の方向性が示された。ネットワーク社会の到来に対応した公益を担う中間団体の相互連携を確保するため、今後はネットワーク運用や資源管理といった視軸からの各種法的仕組みの類型化論の精緻化が課題となる。加えて現在進行中の行政事件訴訟法改正論議に関し、司法行政組織法の観点から、専門性強化を図る法律改正案が提言された。
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[Publications] 稲葉 馨: "人事院の「代償」機能論について"法学. 66巻3号. 1-35 (2002)
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[Publications] 仲野 武志: "下級行政機関の被告適格"ジュリスト. 1224号. 34-35 (2002)
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[Publications] 仲野 武志: "公権力の行使概念の研究(3)"法学協会雑誌. 119-7. 1-78 (2002)
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[Publications] 仲野 武志: "公権力の行使概念の研究(4)"法学協会雑誌. 120-1. 62-137 (2003)
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[Publications] 仲野 武志: "公権力の行政概念の研究(5)"法学協会雑誌. 120-2. 50-123 (2003)
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[Publications] 仲野 武志: "新たな基調理念の模索"自治研究. 79巻4号. 18-27 (2003)