2002 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツとテレビ放映権の法律問題に関する欧州連合,ドイツ及び日本の実態と比較研究
Project/Area Number |
13620023
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 武則 大阪大学, 法学研究科, 教授 (60033742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
シェラー アンドレアス 大阪大学, 国際公共政策研究科, 助手 (80324739)
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Keywords | ドイツの短時間ニュース報道権 / 1998年連邦憲法裁判所判決 / スポーツとテレビ報道 / ユニバーサル・アクセス / プール制 / 第五次放送州際協定 / スポーツ放映と日本的慣行 / 欧州連合 |
Research Abstract |
本研究は、スポーツとテレビ報道に関して研究を行った。ドイツでは一九九八年に連邦憲法裁判所の判決が、短時間報道ニュース権を認める州法について、無償とする限りで憲法違反とした。この判決そのものについては、すでに村上と共同分担者であるシェラーが阪大法学で公表するとともに、シェラーの大阪大学に提出した博士論文の中で分析している。しかしこの判決の評価や批判については、まだ公表されていない。それゆえ、本研究は、まず連邦憲法裁判所判決の批判に関して詳細に考察した。次に「適正な対価」に関して定めた二○○○年六月のドイツの第五次放送州際協定の規律について考察した。さらに本研究は、スポーツとテレビ報道に関して提唱されているユニバーサル・アクセス権に関し、イギリス、欧州連合およびアメリカ等に焦点を置いて考察するとともに、ユニバーサル・アクセスとドイツの短時間報道ニュース権との関係を分析した。さらに、いまだどこにも公表されていない日本の慣行、すなわちテレビ放送局が談合して共同のカメラを設置してスポーツ興行を録画して無料で放映できる「プール制」慣行があること等を紹介した。このような日本的慣行はまだどこにも学問的に考察されていないと思われるので、本研究の意義は大きい。スポーツ報道に関しては、日本は法律的な規律をあまり設けず、自由な業界の取引慣行に委ねる。長所と短所がもちろんあるが、イギリスやドイツでは、憲法上の人権、報道の公共性から、憲法や法律で取材や放映のあり方を整備し、法治国家の観点でテレビ報道とスポーツの関係を規制していることから、日本はその意味ではかなり遅れていることを警鐘しつつ問題点を指摘した。
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Research Products
(1 results)