2001 Fiscal Year Annual Research Report
「女性の人権」概念の理論的基礎を、憲法の家族条項の研究を通して解明する
Project/Area Number |
13620029
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Research Institution | Hiroshima Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
若尾 典子 県立広島女子大学, 生活科学部, 教授 (70301439)
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Keywords | 女性の人権 / 家族条項 / 自己決定 / ワイマール憲法 / ジェンダー |
Research Abstract |
本年度の研究予定は憲法の家族条項について、日本国憲法とワイマール憲法との比較研究にあった。そのためまず、ワイマール憲法の家族条項に関する研究状況の検討に着手し、ビーレフルト大学(在ドイツ)で資料収集を行った。 研究状況の検討は、憲法学、民法学、ジェンダー研究、そして歴史学と多分野に及んだ。第一にワーマール憲法の家族条項は、ドイツ憲法学においてほとんど未開拓の分野である。第二にドイツ民法学においては、現代的関心にもとづく憲法と家族の関係についての研究は進められているが、ワイマール憲法の家族条項に言及することは少ない。80年代以降、家族法改革が急激に進展しており、現行憲法との関係で家族政策を検討することが緊急な課題となっているためであろう。しかしSchwabをはじめ、いくつかの論文があり、それらの検討をした。この点については、拙論「近代国民国家と性的自己決定」(比較家族史学会監修『近代国人国家と家族』所収予定、脱稿2001年9月)において言及した。そして第三に、ドイツにおけるジェンダー研究もまた、現代的な課題への関心が強く、また家族の歴史研究においては、憲法条項への関心が欠落している。 ワーマール憲法における家族条項の研究は、ワイマール憲法制定過程および当時の解釈論を直接に研究対象として本格的に検討されねばならない。そのため資料収集においても、制定議事録および解釈書の収集へと範囲を拡大した。しかし短期間という制限もあり、また古いため、コピーに耐えない資料などもあって、次年度の課題として継続することにした。
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Research Products
(1 results)