2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国地方における明治前半期の裁判所制度の形成過程と裁判官任免制度の整備過程の研究
Project/Area Number |
13620054
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
紺谷 浩司 西南学院大学, 法学部, 教授 (00033738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 高 広島修道大学, 法学部, 教授 (50079274)
田邊 誠 広島大学, 法学部, 教授 (40197512)
深谷 格 西南学院大学, 法学部, 教授 (70218882)
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Keywords | 民事判決原本 / 訴状受取録 / 府県裁判所 / 中国地方 / 代言人 / 刑事判決録 |
Research Abstract |
1.広島地方裁判所と山口地方裁判所において、毎月1回、明治前半期の『訴状受取録』などの裁判記録の調査を継続して行った。後半には、岩国支部、松江地方裁判所へも調査の範囲を拡げた。また、広島高等検察庁、同地方検察庁などの協力を得て、明治前半期の『刑事判決録』の予備調査を行うことができた。刑事判決原本の調査によって、この時期の裁判所の整備過程がより広範に解明できるほか、裁判官や検察官、代言人の経歴調査にとっても非常に有益だからである。例えば、国木田専八(国木田独歩の父)は多くの刑事事件の判決を下していたことが分かった。 2.加藤高教授が、「明治初年、山口県聴訟課の民事裁判の一考察」において、山口県聴訟課時代の家事事件の裁判記録を手がかりに、当時の裁判の実情を解明しようとした論考、および広島県における府県裁判所から司法裁判所への移行をめぐる論考を発表した。 その他、地元の新聞に、紺谷、加藤、増田の判決原本保存の意義および研究の意義を述べた短文を寄稿し掲載された。 3.増田修弁護士が、「明治前期の中国地方における公事師・代言人の研究」のテーマで本研究に参加した。共同研究者に加える手続には間に合わなかったが、氏は、上記検察庁の協力を得て行う刑事判決原本の調査への途を拓いたほか、毎回の調査に参加し、氏の歴史に関する豊富な知識が調査を大いに裨益するところがあった。 なお、増田修氏は、『常陸風土記』の書誌研究等の業績で古代史研究者として著名な方である。 4.平成15年11月に、広島修道大学「明治期の法と裁判」研究会(会長加藤高)が発足した。増田修会員が初回の報告「明治初年のある公事師の貸金取立旅日記」を担当し、同大学の機関誌『修道法学』に掲載された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 加藤 高: "明治初年の「広島県裁判所」について"広島県立文書館だより. 22号. 2-3 (2003)
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[Publications] 加藤 高: "明治初年、山口県聴訟課の民事裁判に関する一考察-「出産児差縺之訴」(小児引取等請求)裁判の取扱いを通して-"広島法学. 27巻2号. 25-61 (2003)
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[Publications] 紺谷 浩司: "判決原本その後"中国新聞夕刊《でるた》欄(平成15年9月27日号). 1-1 (2003)
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[Publications] 加藤 高: "定点観測船"中国新聞夕刊《でるた》欄(平成15年11月21日号). 1-1 (2003)