2003 Fiscal Year Annual Research Report
契約自由原則の民法内在的論理による制限と外在的政策的理由による制限とに関する研究
Project/Area Number |
13620058
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
内田 勝一 早稲田大学, 法学部, 教授 (10063794)
|
Keywords | 組織規範としての契約 / 契約規制における類型的相違 / 契約締結後の事情変更と組織の改編 |
Research Abstract |
本年度は、これまでの契約法研究のとりまとめの作業及び民法内在的な視点からの検討を行った。 本研究においては、資本主義におけるいくつかの型の相違を想定し、契約に対する法的規制にも資本主義の型に相応した類型的な違いに注目してきた。本年度も、ヨーロッパ型資本主義と英米型資本主義との相違を前提としつつ、日本における資本主義の類型と法的規制の類型化という社会経済的視点からの研究を継続してきた。この点については、「契約自由原則の内在的制約と外在的制限」と題する論考を『甲斐道太郎先生喜寿記念論文集』に掲載する予定になっている。 今年度は、これに加えて、より民法内在的な視点から検討を進めた。契約は当事者の法的関係を組織づける組織規範という側面をもっている。とりわけ、長期的・継続的な取引関係においては、将来の当事者の諸関係を組織化するために、契約という手段が用いられる。複数の当事者が共同の事業を営む際には、株式会社等の団体を結成して活動を営む場合もあるが、契約による組織化という手法も存在する。 グローバル化の進行における日本経済の大規模な変動が進む今日、契約締結後の諸事情の変動に応じた組織改変をどのような手法で行うのかが契約法上興味ある課題となっている。本年度はこのような問題についての研究をも進めた。その研究の一端は『野村豊弘先生還暦記念論文集-21世紀契約法の最前線-』に掲載することになっている。 本年度固有のテーマについては上記論文において纏めることができた。これまでの3年間の多様な視点からの研究を集大成した本格的な論文の作成を準備しているところである。
|
Research Products
(2 results)