2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13620079
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
赤根谷 達雄 筑波大学, 社会工学系, 教授 (00212407)
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Keywords | 核兵器全廃レジーム / 核戦略 / 国際司法裁判所の勧告的意見 / 核抑止論 / 対人地雷 / 化学兵器 / 全米ミサイル防衛(MD) / 世論 |
Research Abstract |
本研究は、冷戦後の核戦略論を踏まえつつ、核兵器全廃レジームの可能性を探ろうとするものである。平成13年度の研究計画は、以下のとおりであった。(1)実証的な著書及び関係資料の収集。(2)理論的文献の収集。(3)論点の整理。(4)対人地雷禁止レジーム、化学兵器禁止レジーム及び核不拡散レジームを比較した論文の執筆。 (1)及び(2)に関して言うと、これまで、数十冊の文献や資料を収集し、整理した。(4)に関し、科学研究費申請以降、核兵器、対人地雷、化学兵器にかんするレジームの比較を行い、核兵器の特殊性を明らかにした論文を執筆した(「軍備管理レジームの比較と核兵器禁止レジームの将来展望」『新防衛論集』第28巻、第4号)。この論文を更に発展させるべく、現在、核兵器に焦点を絞った武器全廃レジームの可能性を探求している。(3)の論点の整理であるが、以下の発見に基づき、焦点をいくつかに絞り、考察を進めている。 ○米国は、CTBTの批准拒否、ABM制限条約の破棄と全米ミサイル防衛構想の推進といった一連の動きを示している。これらの動きは、核兵器全廃レジームの形成に重要な意味合いをもっている。現在、その意味を更に検討中である。 ○国際司法裁判所の勧告的意見等の法的アプローチは有効であることが判明した。なぜなら職業軍人は、犯罪者やテロリストと異なり、合法性を重んじるからである。法的アプローチの可能性と限界を更に追求している。 ○核抑止論に批判的であるのは退役軍人や政府の元高官が多い。それに対し、現役の軍人は寡黙である。なぜこのような違いが生じるのかを政治学的・心理学的に探求した。 ○唯一の被爆国・日本は、世論のレベルでは核廃絶を支持しているが、政府レベルでは、米国の拡大抑止による安全保障政策を採用してきた。米国及び日本にとって、拡大抑止政策は、正と負の両側面をもっている。
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Research Products
(1 results)