2002 Fiscal Year Annual Research Report
改革期の中国におけるメディア分野の市場経済化と報導改革
Project/Area Number |
13620098
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
唐 亮 横浜市立大学, 国際文化学部, 助教授 (10257743)
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Keywords | 報道競争 / 事業部門 / 報道政策 / 国際報道 / 国際メディア / 企業法人への改組 / 世論監督 / 呂日周 |
Research Abstract |
平成14年度で研究分担者は「メディア間の報道競争」、「事業部門としてのマス・メディアの改革」および「報道政策の動向」を中心に文献調査、現地調査と資料・データの収集と解析を行い、研究成果の一部を学術論文に収録・出版した。主な研究成果は以下の通りである。 第1に、報道競争はいっそう激化する傾向を見せている。国際報道を例に見ると、WTO加盟や経済のグローバル化が進む中で、国際情報に対する人々の関心が高まり、南方日報社は2002年5月から「21世紀環球報道」、新華社の参考消息社は2002年6月から「国際先駆導報」を発行し、国際報道の市場に参入した。他方、人民日報の系列紙である「環球時報」は2003年から週2回の発行から週3回の発行に切り替えた。また、中国当局は地域限定(広東省)で、香港鳳凰電視台のニュース放送を許可した。国際メディアの報道競争の行方は注目される。 第2に、マス・メディアは政府の「事業部門」(日本の特殊法人、公益法人に相当)とされ、原則として政府の予算によって運営されるが、他方、国営企業は自己採算制を実行し、利潤の創出を目標とする。今まで、行政当局はマス・メディアの経営活動を認め、経営自立を要求するようになったが、報道・言論統制の立場から引き続きメディアを「事業部門」と見なし、企業への改組や民間資本の参入を拒んできた。ここに来て、中央当局は改革の試行という意味で、メディア機関を事業部門から企業法人への改組を認め、浙江日報報業集団は2002年に企業法人の登録を済ませた。 第3に、2002年の党大会、2003年の第10期全人代を控えて、報道に対する統制が大変厳しかった。他方、行政や幹部に対する世論監督の強化はさまざまな形で模索されている。呂日周・山西省長冶市委書記は地元の共産党機関紙に対して批判暴露報道を大々的に展開するように指示し、全国的な支持を得た。最高裁判所はメディアの批判・監督権の行使を支持すると立場を表明した。こうして、政局の安定や一党体制の維持にかかわる核心的な問題に関して、マス・メディアは消極的な姿勢を見せているが、ほかの分野について自由化を従来以上に認めるようになっている。
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[Publications] 唐 亮: "農村選挙改革の政治過程"法学研究. 第75巻第1号. 453-488 (2002)
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[Publications] 唐 亮: "政策過程における国民の意見参加"中国21. 第14号. 61-84 (2002)
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[Publications] 唐 亮(共著): "東アジアにおける政府と企業"関西大学法学研究所研究叢書. 121 (2002)