2002 Fiscal Year Annual Research Report
欧州における危機管理の発展をめぐる研究-NATO,EU,OSCEを事例として
Project/Area Number |
13620103
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
植田 隆子 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10138620)
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Keywords | 欧州 / EU / NATO / OSCE / 危機管理 / 安全保障 / 米国 / バルカン |
Research Abstract |
1.14年度の研究実績としては、(1)欧州連合、NATO, OSCEのそれぞれの危機管理をめぐる活動および(2)三組織間の調整、協力関係、(3)国際連合とこれらの組織の協力関係について資料を収集し、分析した。 2.具体的な実績である出版物としては、2003年3月に岩波書店から編著『現代ヨーロッパ国際政治』を刊行し、第二章「北大西洋条約機構」(21-46頁)、第三章「欧州連合の拡大と欧州安全保障防衛政策(危機管理問題)」(47-69頁)、第四章「欧州安全保障協力機構」(71-92頁)に研究成果を公表した。さらに、欧州の危機管理体制の実態を踏まえ、日本との協力の可能性を検討した論文を含む編著『21世紀の欧州とアジア』を2002年10月に刊行した。 3.上記1の分析によっては、具体的には以下が明らかになった。 (1)EUは史上初の実践である欧州連合警察ミッションを2003年1月から開始した。軍事的危機管理についても停滞していたNATO=EU間の交渉が進展した。 (2)NATOは2002年11月のプラハ首脳会議で危機管理を含む能力向上を決定した。従来のバルカンにおける危機管理を継続するほか、アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)をNATOとして支援することになり、欧州域外でも危機管理を実施することになった。 (3)OSCEは広い意味での非軍事的危機管理をバルカンおよび旧ソ連領域で実施してきたが、EUがバルカンの危機管理に乗り出したこともあって、中央アジア諸国に活動の重点を移しつつある。 (4)欧州の国際組織間、およびこれらと国連の間の調整・協力も進展してきている。
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