2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630033
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
北坂 真一 同志社大学, 経済学部, 教授 (40234249)
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Keywords | 財政政策 / 金融政策 |
Research Abstract |
本年は主に以下の3つのことをおこなった。 まず第1に、わが国の財政政策について、90年代以降を中心に考察した。その結果、90年代の前半に公的固定資本形成の対GDP比が大きく上昇したことや、GDPに占める公債残高がそれに遅れて90年代後半に大きく高まったこと、さらに90年代に大型の補正予算が組まれるようになったこと、などを特徴として見出した。また、財政支出における「真水」と呼ばれる部分が景気対策において重要な論点の1つであることを指摘し、その「真水」について4つの定義が可能であることを整理した。具体的に、まず1つ目は事業規模から特別減税と政策減税を除いた部分、2つ目は財源を公債の発行でまかなう部分、3つ目は1つ目の定義からさらに用地取得に用いる部分や融資関連経費、および移転項目を除外したもの、最後に4つ目は3つ目に加えて、事業の執行主体が中央政府でないものや、通常の支払いが予定される支出項目を除外したもの、に分類できる。これらの定義のもとで、それぞれの「真水」の額を経済対策ごとに計算し、その動きを考察した。さらに、財政政策のラグについて、若干の実証分析を行い、暫定的な結果として、3四半期から4四半期程度の外部ラグの長さを計測した。また、財政政策の乗数効果について、議論を整理した。2つ目の研究は金融政策に関して、その政策反応関数の計量分析に取り組んだ。ここでは、まず用いる計量モデルを考える上で、政策反応関数が標準的なマクロモデルと損失関数から導かれることを理論的に確認した。その上で、金融政策が物価水準やインフレ率、あるいはGDPギャップ以外にも、為替レートや経常収支、株価などに反応する可能性を時系列分析の手法を応用して検討した。さらに、3つ目として現在のところ、財政政策の政策反応関数についても、その定式化や計量分析の手法を検討しているところである。
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Research Products
(1 results)