2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630033
|
Research Institution | DOSHISHA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北坂 真一 同志社大学, 経済学部, 教授 (40234249)
|
Keywords | 金融政策 / 財政政策 |
Research Abstract |
本年度は、主に以下の3つのことを行った。 まず第1に、わが国の金融政策の政策反応関数を、GMM(一般化積率推定法)とレジームの変化を計測できるマルコフ・スイッチング・モデルにより推定した。この結果、株価の基調的変動は金融政策に影響するが、その一時的変動は影響しないことが明らかにされた。また、金融政策による景気への配慮は、テイラールールが示唆するように常に行われるのではなく、特別に景気の問題が深刻である時にだけ影響した可能性の高いことが実証分析によって示された。 次に第2は、わが国の政府支出を対象に財政の政策反応関数を推定し、そのレジームの変化を計測した。この結果、次の3つが明らかになった。まず1つ目は、政府支出の反応関数に関して、その内部ラグを計測すると、景気要因と財政赤字要因の両方に関して、ともに4四半期(1年)ないしは3四半期(90日)程度のラグが計測された。次に2つ目は、政府支出の政策反応関数のレジームは、大きく分けると93年に変化した可能性が高く、92年までは景気要因に強く反応するが、それ以降は景気の影響が弱まり、財政赤字の増加に反応する傾向が明らかになった。3つ目は、93年以降について詳しくみると、景気要因が強くなった期間が2度、1996年と1999年に観察された。 第3は、わが国のデータを対象に、中央銀行と財政当局を独立した目的を持つ主体と考え、両者による動学ゲームのもとで導出される均衡戦略を推定した。この結果、公的債務の安定化は主に財政当局によって追及され、金融政策はそれらを特に考慮することなく主体的に行われていた可能性が高い、ことが明らかにされた。このような状況は、Barro(1979)で想定されたリカードの等価定理の世界と整合的である。
|