2001 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本の長距離人口移動に対する経済力格差とアメニティ格差の影響に関する比較研究
Project/Area Number |
13630035
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
伊藤 薫 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 助教授 (10308679)
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Keywords | 理由別人口移動 / 人口移動調査 / 職業的要因 / アメニティ / 社会指標 |
Research Abstract |
1.人口移動データの収集・入力:(1)都道府県の理由別結果:岐阜県、東京都、広島県、福島県について実施。(2)国勢調査:1970年、1980年、1990年のデータ入力を概ね終了した。 2.都県調査の移動理由の研究発表:(1)岐阜県については、日本人口学会で発表。最大要因は「職業上」。「生活環境の利便性」による移動が増加。「自然環境上」は非常に少なかった。(2)東京都について日本地域学会で発表。遠距離移動では、「職業的要因」が最大項目で石油危機後も割合は安定している。うち「転勤」の重要性が拡大し、流入超過である。大都市圏内移動では「通勤・通学の便」が増加。住宅の周辺環境の評価は低い。(3)現在のところ、移動理由調査からは、自然環境、住宅の周辺環境の評価は低く、生活の利便性、通勤・通学の利便性の評価が高まってきたことが判明した。 3.アメニティ要因の検討:人口移動に影響を与えるアメニティ要因について、生活水準の包括的把握を試みた代表的指標である経済企画庁「新国民生活指標」、多数の指標で地域比較を試みた総務省統計局「社会・人口統計体系」などについて、その概要を研究し、人口移動との関係を予備的に分析した。名古屋市杜会指標研究会(2002年3月)で発表。日本の社会指標では、生活の分野区分はほぼ安定している。所得格差は人口移動(転入超過率)を強力に説明してきたが、PLI地域格差指標(ほぼ1988年)の分野別指標を追加すると「育てる」(回帰分析の係数はマイナス)、「費やす」(同プラス)では有意に説明力が向上した。 4.先行研究のサーベイ:Greenwood[1997]を基に、アメリカなどの先行論文をサーベイした。 5.参考であるが、岐阜県調査から子供の医療費の15歳までの無料化、結婚による転入増加と出生の増加が並行して生じている町を2町見出し、日本人口学会で概要を説明した。
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