2001 Fiscal Year Annual Research Report
総合電機メーカーの組織デザインに関する経営史的分析
Project/Area Number |
13630096
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
長谷川 信 青山学院大学, 経営学部, 教授 (40144050)
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Keywords | 組織デザイン / 職能制組織 / 事業部制組織 / 総合電機メーカー / 戦略事業単位 / 沖電気工業 / 日本電気 |
Research Abstract |
本研究では、総合電機メーカーの組織デザインを実証的に分析するため、日本電気、沖電気工業のケースを選び、両社資料の収集をおこなった。とくに沖電気工業の第2次大戦以降、1980年代に至る組織変更に関する資料収集に中心を置いた.典型的な総合電機メーカーだけではなく、総合電機メーカーを指向しながら、十分な事業構造の多角化を達成できなかった企業をとりあげ、その組織を典型例と比較することが重要と考えられるからである. 沖電気工業、日本電気ともに、高度経済成長期において、それまでの通信事業に加えて、コンピュータ事業などへの事業構造の多角化が進んだ.両社ともに、1960年代に事業部制を導入して事業構造の多角化をすすめたが、両社の事業部制組織には差異があった.日本電気がいわば典型的な事業部制を形成していったのに対して、沖電気工業は事業部制組織を導入しつつも、その実態は完結した事業部の機能をもつことなく、職能制組織の性格を維持しながら、部分的に事業部制的な組織、機能を導入するという特徴を持っていた.第一次石油危機後に行われた大規模な組織改革においては、独立採算的な仕組みを取り入れるために、戦略事業単位の発想を取り入れ、SBU体制と呼ばれるマトリクス組織を発足させた.しかし、このSBU体制は、従来の職能制をベースにした組織を基礎に置いたものであり、短期間で失敗に終わる結果となった.このような沖電気工業の組織変更は、事業構造の特徴の反映であるとともに、従来からの組織構造の特徴が反映されたものと考えられる.したがって、第2次大戦以降における組織構造の変化の要因を実証分析することが残された課題となる。
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