2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630114
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Research Institution | CHUO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井村 進哉 中央大学, 経済学部, 教授 (50176509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 美彦 獨協大学, 経済学部, 教授 (10305782)
伊東 和久 広島女子大学, 国際文化学部, 教授 (90295832)
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Keywords | 住宅金融システム / 住宅政策 / アジア的証券化 / 経済危機 / 公的金融 / KoMoCo / 住宅金融の証券化 / 日韓の比較研究 |
Research Abstract |
本研究は、日韓における自由化、国際化、政府部門縮小政策が住宅金融システムにどのような影響を及ぼしているのかを国内金融の資金配分システムの比較研究を中心として実証的に明らかにすることを目的とし、以下のような研究を推進した。 平成13年度は資金循環勘定などの基礎データの分析、各種ヒアリングを通じて日韓の住宅金融システムの全体像を明らかに、その上で平成14年度では、両国のシステムがどのような変化を遂げているのかを証券化を中心に研究を進めた。 特に平成14年度には、まず韓国住宅金融の証券化の背景、実態、および影響の分析結果を『韓日経商論集』に公表し(6月)、第17回日韓経済経営国際会議(韓国慶州、8月)においては米日韓の住宅金融証券化のロジックの相違に関する共同報告を行った。同時にワークショップで金寛永氏から「韓国住宅金融政策の動向」について報告を受けた。また、9月には韓国でヒアリング(於;ニューステイト・キャピタル、大韓住宅公社、韓国土地公社など)を行い、民間モーゲッジバンクの動向や土地・住宅政策の動向について調査を行った。さらに、12月には韓国のメンバーを招き、日本の住宅金融の証券化について調査(於:住宅金融公庫、三井不動産、ドイツ証券)を行った。 以上の研究内容は12月の国際シンポジウム(「転機にたつ住宅金融システム:日韓の構造改革を問う」、主催:中央大学経済研究所・東アジア経済経営学会)において報告され、活発な議論が展開された。 以上を通じて本研究では、韓国において証券化を通じた新たな公的資金調達のチャンネルが形成されたこと、日本でも民間金融の急速な住宅ローン市場への参入に先立って公庫MBS市場が形成されるという形で部分的に資金循環の構造変化がみられるなど、「アジア的証券化」の定着可能性がみられるという知見を得ており、今後さらなる検討が求められている。
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Research Products
(21 results)
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[Publications] 井村進哉, 柳在廣: "韓国における住宅金融の証券化-国民住宅基金の住宅ローン債権の流動化を中心に-"財団法人韓日経商学会『韓日経商論集』. 第24巻. 269-292 (2002)
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[Publications] 柳在廣, 斉藤美彦, 井村進哉: "米日韓の住宅金融証券化について"財団法人韓日経商学会・東アジア経済経営学会編『第17回韓日経済経営国際会議』. 2002年8月. 1-11 (2002)
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[Publications] 井村進哉: "日本の住宅政策の転換と証券化の課題"中央大学経済研究所『 Discussion Paper Series』. NO.34. 1-32 (2002)
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[Publications] Kim Kwang young: "The Role of Public Housing Finance Institutions in Changing Environments"中央大学経済研究所『 Discussion Paper Series』. NO.35. 1-24 (2002)
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[Publications] 伊東和久: "Current Issues in the Philippines Financial System"The Asian Club Foundation主催,The Philippine International Symposium 発表論文集. 2002年4月. 1-6 (2002)
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[Publications] 伊東和久: "(書評)池尾和人・黄圭燦・飯島高雄著r日韓経済システムの比較制度分析-経済発展と開発主義のわな』"アジア経済研究所『アジア経済』. 第44巻. 110-114 (2003)
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[Publications] 斉藤美彦: "第5章日本のメインバンクとコーポレート・ガバナンス"井村, 福光, 王編『コーポレートガバナンスの社会的視座』日本経済評論社. 2002年12月. 171-200 (2002)
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[Publications] 斉藤美彦: "信用組合への提言"全国信用組合中央協会『信用組合への提言』. 59-65 (2003)
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[Publications] 斉藤美彦: "銀行業における信用リスクと流動性リスク"武蔵大学論集. 第50巻第3号. 317-337 (2003)
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[Publications] 井村進哉: "証券化と公的金融肥大化のパラドツクス"不動産経済研究所『不動産経済FAX-LINE』. NO.359. 3-4 (2002)
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[Publications] 井村進哉: "住宅金融における「民間補完」とは何か(前編)"不動産経済研究所『不動産経済FAX-LINE』. NO.367. 3-4 (2002)
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[Publications] 井村進哉: "住宅金融における「民間補完」とは何か(後編)"不動産経済研究所『不動産経済FAX-LINE』. NO.359. 3-4 (2002)
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[Publications] 斉藤美彦: "イギリス-住宅金融・住宅政策"住宅金融公庫編『海外住宅金融・海外住宅政策Guidebook2001』. 2002年3月. 71-114 (2002)
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[Publications] 斉藤美彦: "イギリスの住宅投資と住宅金融"都市基盤整備公団『主要先進国の住宅政策と住宅事情等の現況調査』. 2002年3月. 250-264 (2002)
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[Publications] 斉藤美彦: "信用組合の未来学"信用組合. 第49巻第6号. 4-9 (2002)
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[Publications] 斉藤美彦: "書評:吉田暁著『決済システムと銀行・中央銀行』"週刊金融財政事情. 2002年6月. 46-46 (2002)
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[Publications] 斉藤美彦: "金融政策の実態と論争:1990年代日本の経験"獨協経済. 第75号. 13-30 (2002)
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[Publications] 斉藤美彦: "英国の金融サービス補償機構について"全国銀行協会『金融』. 第667号. 3-9 (2002)
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[Publications] 井村進哉: "住宅金融の日韓比較から見えてくるもの-政策理念と現実のニーズとのギャップをいかに埋めるか?-"不動産経済研究所『不動産経済FAX-LINE』. NO.387. 3-4 (2002)
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[Publications] 井村進哉: "再び「官」による「民間補完」を考える"不動産経済研究所『不動産経済FAX-LINE』. NO.394. 3-4 (2003)
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[Publications] 伊東和久: "第2章 台湾の中小企業金融とベンチャーキャピタル"劉進慶, 朝元照雄編『台湾の産業政策』剄草書房. 2003年1月. 42-62 (2003)