2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630116
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
加納 正二 摂南大学, 経営情報学部, 助教授 (50319787)
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Keywords | メインバンク / 地域金融 / 中小企業 / 非上場企業 / 貸出金利 |
Research Abstract |
本研究の目的は、非上場企業のメインバンク・システムを解明し、地域の金融構造を明らかにすることにある。サンプルとして貸出金利の低い愛知・京都・岐阜の3県と宮崎・高知・青森の高金利の3県の非上場企業を選び、1980-90年(H期)、1990-2000年(L期)の2期間に分けて分析する。 非上場企業のメインバンクが10年間メインバンクを変更せずに継続する割合(固定率)は、85%前後の高い数値を示す。この固定率は、金融機関の業態、地域、時期によって異なる。すなわち、地方銀行をメインバンクとする非上場企業のメインバンクの固定率は9割と、かなり経続的・安定的であるが、他の業態はこれよりも低い。地域別にみると、高金利県3県の方が、低金利3県よりも固定率が高い。これはメインバンク集中度と関連していると考えられ、メインバンク集中度の高い地域は貸出の市場集中度も高く、メインバンクの変更が行われにくく、貸出金利も高いと考えられる。H期とL期を比較すると、H期の方がわずかではあるが、固定率は高い。 H期においては、資本金が伸びている非上場企業ほどメインバンクを変更する傾向が見られたが、L期においては、この傾向は見られない。操業年数はH期、L期ともにメインバンク変更に対して負で有意な変数であった。業歴の短い非上場企業ほどでメインバンクを変更する傾向にあることがわかる。 さらに、この傾向は上位の業態へ変更する際に顕著であり、成長性のある若い企業が資金調達先の選定を模索している姿が浮かび上がってくる。 地域経済の発展のために、若い成長性のある非上場企業の資金調達の場を創設していく必要性があることが示唆される。
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