2001 Fiscal Year Annual Research Report
1980年代保険会社の企業行動の計量分析-バブル期における企業戦略の研究-
Project/Area Number |
13630156
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
宮下 洋 京都産業大学, 経営学部, 教授 (80166173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 高生 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (00175019)
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Keywords | 計量経済分析 / 同時方程式モデル / 費用関数 / 保険企業 / パネルデータ |
Research Abstract |
わが国損害保険企業19社の1969年から1998年のパネルデータを用い、費用関数とシェア方程式から成る同時方程式モデルをSUR推定してコスト・インエフィシエンスィ(費用非効率)を最初に計測した。この非効率を生じさせた要因の分析が主題であるが、この推定にあたっては一致推定量を得るために計測値の調整を実施しており、そのために計測値そのものを使用して計量分析を実施することができなかった。ここで得られた19社30年間の合計570の非効率を11のランキングに分類し、ランク0(最も非効率が少なくて効率的)を最高として最低ランク10まで、19社について30年間でランクがどのように推移するかを示した。その結果バブル崩壊が損害保険会社に与えた影響の深刻さが明らかとなった。 このランクの推移を説明する要因として剰余金・金利・収入保険料・資産合計を選び、従属変数がランキングであることからオーダード・プロバビリティモデルを採用して推定を実施した結果、生産高である剰余金額が大きいほどランクが上位(効率的)となり、また収入保険料が多いほどランクが上位となることg判明した。資産についてはモデルの定式化により結果に差があった。しかし金利については低金利がランクを低下(非効率増加)させる傾向が明らかであった。したがって収入や生産高の多い企業ほどより効率的な経営が可能であり、ただ規模が大きいだけでは効率的と必ずしも言えず、しかし超低金利が損害保険会杜に深刻な悪影響を与えていることが確認された。なお19社中最も効率的な企業は東京海上で、バブル崩壊の影響をほとんど受けていないことが分かった。
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