2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630169
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 嘉博 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10168388)
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Keywords | PAF環境品質原価計算 / イノベーション・アクションリサーチ / 環境管理会計 / 環境予算マトリックス |
Research Abstract |
本研究では、品質原価計算のフレームワーク(PAF法)を環境管理会計の実践的手段として援用することの意義と可能性について、検討を重ねてきた。本研究の特色は、環境管理会計実践が抱える問題点を明確にするとともに、これらを改善する具体的なツールを開発してその適用可能性を産学協同で探求し、もって実務の革新を目指すというアプローチをとったことにある。当該研究方法はイノベーション・アクションリサーチと呼ばれるが、その性格上、企業の協力が不可欠である。幸い、本研究にあっては、東洋製罐、日東電工、東芝、九州電力、日産、キリンビール等数社の協力を得ることができた。 具体的には、PAF法による環境コストの体系をもとに、事業所単位の環境活動予算の合理的な編成ツールとして環境予算マトリックス(企業によっては、環境コストマトリックスと呼んでいるところもある)を開発し、実際に予算編成の場面で適用してもらった。また、マトリックスの作成・検討場面の観察を通じて、そこで生起するさまざまな組織的な間題点を識別していった。さらに、分析の結果は適宜各企業にフィードバックし、それをもとに各社の環境管理会計実践の革新が図られた。 もちろん、すべての企業で環境予算マトリックスが等しく評価を得たわけではない。事実、2社はテストランの段階で、このツールの継続的適用を見送ったが、他の各社にあっては有効なツールであるとの評価を得ている。とくに、東洋製罐にあっては、全社的な環境予算編成ツールとして正式採用することが決まり、すでに新聞報道(『日経産業新聞』2003年9月30日付)もされている。 現在は、過去3年間にわたる研究成果のとりまとめ作業中であるが、できるだけ早い機会に著書としてまとめ刊行したいと考えている。同時に、内外の学会等においてこの成果を公表することも急務と考えており、その手始めとして、2004年3月にドイツで開催される環境管理会計ネットワーク2004年欧州大会(EMAN-EU2004)にて報告することが決まっている。
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Research Products
(2 results)