2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640042
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小山 信也 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (50225596)
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Keywords | ゼータ関数 / リーマン予想 / 整数論 / 解析数論 |
Research Abstract |
本研究は数論的ゼータ関数の値の挙動を主たる研究対象としている。セルバーグ・ゼータ関数やラプラシアンのスペクトルなど、幾何学的な対象における成果を踏まえ、元来の数論で未解決となっている数論的ゼータ関数の問題に進展を与えることが目標である。今年度の実績は、ゼータ関数の普遍性と多重化の2つの方向においてなされた。前者は、代数体の量指標ヘッケL関数の普遍性を、量指標が変化した場合に新たに定義して証明した研究(名古屋大学の見正氏との共同研究)であり、論文は日本学士院紀要に出版された。第二の方向の多重化とは、1974年にドリーニュがフィールズ賞を受賞した「合同ゼータ関数のリーマン予想の証明」に新たな解釈を与えて発展させたもので、1990年頃より黒川信重氏により考案されている理論である。一般に2つのゼータ関数の積(絶対テンソル積、黒川積)を、それらの零点や極の和を零点や極に持つような、位数の高い複素関数として定義し、そこに跡公式(明示公式)を用いることにより多重ゼータ関数のオイラー積表示を得、それよりリーマン予想への進展を得るという発想である。今年度の実績としては、有限体のハッセ・ゼータ関数の多重化を実現し、それらの応用としてセルバーグ・ゼータ関数のガンマ因子の計算、リーマン・ゼータ関数の特殊値の表示などを得た。この研究は一連の共著論文としてまとめ、既に三編が掲載決定、一編が投稿中、さらに二編が投稿準備中となっている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] N.Kurokawa, S.Koyama: "Normalized double sine functions"Proceedings of Japan Academy. 79A. 14-18 (2003)
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[Publications] S.Koyama: "Subconvexity of Hecke L-functions in the Grossencharacter aspect"Probabilistic Methods in Number Theory. 1. 124-136 (2002)
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[Publications] T.Arakawa, S.Koyama, M.Nakasuji: "Arithmetic expression of Selberg zeta functions with applications to the prime geodesic theorem"Proceedings of Japan Academy. 78A. 120-125 (2002)
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[Publications] S.Koyama, N.Kurokawa: "Multiple zeta functions (I)"Compositio Mathematica. (印刷中).
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[Publications] H.Mishou, S.Koyama: "Joint universality of Hecke L-functions in the Grossencharacter aspect"Proceedings of Japan Academy. 78A. 63-67 (2002)
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[Publications] N.Kurokawa, S.Koyama: "Multiple sine functions"Forum Mathematicum. (印刷中).