2002 Fiscal Year Annual Research Report
Siegel modular関数の特殊値による単数群の構成
Project/Area Number |
13640046
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 啓一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (80092550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 喜一朗 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90143370)
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Keywords | 単数 / ray class field / Siegel modular function / L-関数 |
Research Abstract |
今年度は1の原始13乗根ζを有理数体Qに附加した体Q(ζ)のQ上4次の部分体k=Q(ζ+ζ^3+ζ^9)のアーベル拡大の中に,Siegel modular functionの特殊値として単数を構成し,さらにKronecker limit formulaとの関係を調べた。村林,梅垣,Wamelen等によって発見された種数2の代数曲線C:y^2=x^5-156x^4+10816x^3-421824x^2+8998912x-8042776のJacobian variety JはCM型アーベル多様体となり,そのCM体は前述のkになっている。まず最初に,うまくSiegel modular functionをみつけて,Jに対応するCM点をその関数に代入してkのmod 6のray class fieldのMinkowski unitを構成した。このとき,関数の特殊値が単数であることをたしかめるために,高速コンピューターをもちいた。さらにkの2次拡大に対応しているHeckeのL-関数の1での特殊値を上の単数であらわすことに成功した。 虚2次体のアーベル拡大に対応しているHeckeのL-関数の1での特殊値の中に,楕円単数やmodular unitがあらわれる事はKroneckerのlimit formulaとして古くから知られており,アーベル拡大の構成問題とも関連していたが,虚4次アーベル体上のアーベル拡大に対してHeckeのL-関数の1での値をアーベル多様体に関連した単数で記述したのは世界でもこの例がはじめてである。この結果を昨年7月にSydneyで開かれた整数論の国際研究集会で発表したとき,J. Coatesをはじめとして,多くの研究者の注目をあびた。この科研費の援助のもと昨年3月18日から3月20日まで開かれた早稲田大学での整数論の研究集会は,この研究にとって有意義であった。
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Research Products
(1 results)