2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640120
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
百武 弘登 九州大学, 数理学研究院, 助教授 (70181120)
|
Keywords | 繰り返し測定データ / 多重比較 / 同時信頼区間 / 最良母集団 |
Research Abstract |
各個体において、繰り返し測定データが得られるとき、データに適当な非線形構造があると仮定されることがある。たとえば、麻酔後のヒスタミン値は、最初は増加し、その後減少する傾向があり、このような現象に対して薬物動態モデルと呼ばれる非線形なモデルを適合させることがある。適合させたモデルにおいて、最大値などは複数の未知母数の関数として表わされ、母数は異なるが同じモデルをもつ数個の母集団を未知母数の関数により比較することに興味がある。麻酔学の例では、麻酔前にヒスタミン値を小さくするための薬剤が投与されるが、数種の薬剤のいずれかが投与され、薬剤ごとの効果の比較が必要となる。 本研究では、母集団の比較を未知母数の関数により行うため、同時信頼区間の構成が目的であるが、興味のある未知母数の関数が非線形であるため、信頼区間を求めることはかたり困難である。そこで、1次の展開によって、未知母数の最小2乗推定量が近似的に正規分布に従い、共分散行列が近似的にウィシャート分布に従うことを示し、ペアごとの同時信頼区間を近似的に与えた。さらに、薬剤の比較などにおいては、どれが最も効果があるのかを知りたいことがある。このために、ある母集団とその他の母集団の中で最良の母集団との比較で行われる最良との多重比較における同時信頼区間の構成により最良母集団を推測する方法がある。ここでも、1次の展開を用いて、ダネットの方法が近似的に適用できることを示した。さらに、ヒスタミン値のデータを用いて、これらの同時信頼区間の近似の数値例を与えた。
|