2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640138
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Research Institution | NIHON UNIVERSITY |
Principal Investigator |
斎藤 明 日本大学, 文理学部, 教授 (90186924)
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Keywords | 閉包 / 因子 / ハミルトン閉路 / 拡張可能性 / グラフ |
Research Abstract |
本研究は、従来グラフ理論におけるハミルトン閉路及び1-因子の研究で用いられてきた閉包操作を、条件付き2-因子の研究に応用することを目的としていた。本年度は2年計画の2年目にあたる。前年度は主にBondy-Chvatal閉包と因子の関係を調べたが、本年度はその他の閉包との関係、さらにはより広く2-因子と関係の深いサイクルの問題との関係を調べた。その研究実績は以下の通りである。 1.任意のk本の独立辺集合が完全マッチングに拡張できるようなグラフをk-拡張可能グラフとよぶ。ハミルトン閉路の存在に関しては、「n頂点のグラフの任意の非隣接な2頂点の次数和が常にn以上であれば、そのグラフはハミルトン閉路を持つ」というOreの定理は有名だが、k-拡張可能グラフに関しては、この条件を緩和できる可能性があると考えた。そして「n頂点のk-拡張可能グラフの任意の非隣接2頂点の次数和が常にn-k-1以上であれば、そのグラフはハミルトン閉路を持つ」という定理を証明した。すなわちk-拡張可能グラフにおいては次数和条件をk+1だけ緩和できることが判明した。 2.グラフがハミルトン閉路を持つ1つの条件として、近傍和条件というものがある。これはグラフGの非隣接頂点u, vについて、その近傍の和集合の位数|N(u)∪N(v)|が常に十分大きければGはハミルトン閉路を持つ、という形の条件である。本研究では2部グラフについて近傍和の条件を調べ、一般のグラフに比べ非常に弱い近傍和条件でハミルトン閉路の存在が保証されることを証明した。 3.2部グラフは「全ての閉路の長さが偶数となるグラフ」と言い換えることができる。そこでこの概念を一般化して与えられた正整数n, kに対して「全ての閉路の長さがnを法としてkと合同であるようなグラフ」考えた。その結果n=2かつk=0、すなわち2部グラフの場合を除いてこのようなグラフのクラスは貧弱な構造しか持たないことが判明した。 4.閉包を用いて、グラフが1-拡張可能となるための新しい必要十分条件を与えた。また、この条件を利用して与えられたグラフが1-拡張可能か否かを判定するO(|E(G)|^2)のアルゴリズムを与えた。 以上のように本研究により多くの知見が得られた。
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[Publications] K.Kawarabayashi: "Hamiltonian cycles in n-extendable graphs"Journal of Graph Theory. 40. 75-82 (2000)
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[Publications] G.Chen: "The hamiltonicity of bipartite graphs involving neighborhood unions"Discrete Mathematics. 249. 45-56 (2002)