2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640155
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 周 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50183520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 圭一 東京理科大学, 理学部一部, 助教授 (50224499)
谷島 賢二 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (80011758)
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Keywords | シュレディンガー方程式 / スペクトル理論 / 散乱理論 / 半古典極限 / ランダム作用素 |
Research Abstract |
関数解析、偏微分方程式論を用いて、シュレディンガー方程式の研究を行った.具体的には、下のような研究成果を得た. 1.ランダム、シュレディンガー作用素の性質:ポテンシャル関数がエルゴード的な確率過程であるようなシュレディンガー作用素を,ランダム・シュレデインガー作用素と呼ぶ.これは,不規則性を持つ物質中の電子を記述する方程式と考えられ、物性論では極めて重要である.2001年にJ.Functional Analysisに発表した論文では,ランダム・シュレディンガー作用素のIDS(Integraed Density of States,状態密度)の定義の意性を証明した.また2001年にCommunications in Mathematical Physicsに,J.M.Combes, P.D.Hislopと共著で発表した論文では,IDSに関するWegner評価についての新しい結果を得た.現在は,ランダムな磁場を持つシュレディンガー作用素に関するWegner評価を証明し,スペクトルの局在を証明することを目指して研究を進めている. 2.相空間でのトンネル効果とその応用:トンネル効果とは,大まかに言えば,古典力学的に許されないような運動に対応するシュレディンガー方程式の解の挙動,と考えられる.半古典極限(プランク定数が0に近づくとき)では,トンネル効果は指数的に小さくなると予想される.この性質は,相空間で切り離されたエネルギー曲面の連結成分に局在する解の間の相互作用の評価と考えることができる.これを数学的に厳密に定式化した物が相空間のトンネル効果(tunneling effects in the phase sapce)である.J.Functional Analysisに発表予定の,A.Martinez, V.Sordoni(ともにボローニャ大学)との共著論文においては,複数のチャンネルを持つシュレディンガー方程式の散乱理論への応用に関する結果を得た.進行中の研究としては,A.Martinez, V.Sordoniと共同で,シュレディンガー方程式の超局所的解析的平滑化(microloc alanalytic moothing effect)への応用を,またV.Sordoniと共同で断熱定理(adiabatic theorem)への応用を研究している.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nakamura, Shu: "A remark on the Dirichlet-Neumann decoupling and the integrated density of states"J. Functional Analysis. 179. 136-152 (2001)
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[Publications] Combes, J-M.: "The L^P-theory of spectcal shift function, the Wenger estimate, and the integrated density of stutes for some random operators"Commun. Math. Phys.. 218. 113-130 (2001)
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[Publications] Martinez, A.: "Phase space tunneling and multistate scattering"J. Functional Analysis. (発表予定).