2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640155
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 周 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50183520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 圭一 東京理科大学, 理学部一部, 助教授 (50224499)
谷島 賢二 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (80011758)
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Keywords | シュレディンガー方程式 / 散乱理論 / スペクトル理論 / ランダムシュレディンガー作用素 / 半古典極限 / トンネル効果 / スペクトルシフト関数 / 磁場中の粒子 |
Research Abstract |
シュレディンガー方程式を中心に、量子力学の方程式、作用素について、関数解析的、あるいは微分方程式的な手法を用いて研究を行っている。今年度には、以下のような研究成果を得た。 (1)相空間での半古典極限の方法とその応用:シュレディンガー作用素の半古典極限におけるトンネル効果の評価の一般的な枠組みとして、FBI(Fourier-Bros-Iagornitzer)変換を用いた、相空間における指数的重み付き評価(exponential weighted estimates in the phase space)がある。この手法を用いたシュレディンガー作用素のスペクトル、固有値などの研究をA.Martinez(Bologna大学)、V.Sordoni(Bologna大学)との共同で行っている。具体的には、内部自由度を持つシュレディンガー作用素の散乱における状態遷移の確率を、相空間でのトンネル効果と捉え、半古典極限において指数的に小さくなることを証明した(J.F.A. 2002)。この手法を断熱極限(adiabatic limit)における指数型評価が、エネルギー空間でのトンネル効果として自然に導かれることを示した(V.Sornoniとの共同研究。論文投稿中)。また、この手法をシュレディンガー方程式の解析的特異性の伝播に応用する研究を、A.Martinez, V.Sordoni, M.Zworskiと共同で研究中である。 (2)ランダムシュレディンガー作用素の性質:ランダムシュレディンガー作用素とは、ポテンシャルがエルゴード的な確率過程であるようなシュレディンガー作用素であり、物性物理において基本的なモデルである。スペクトルシフト関数(spectral shift function)の手法をランダムシュレディンガー作用素の状態密度(the integrated density of states)の解析に応用して新しい結果を得た。また、ランダムな磁場を持つシュレディンガー作用素について考察し、リフシッツ特異性や、アンダーソン局在に関する結果を得た(F.Klopp(Paris大学)、中野史彦(東北大学)、野村祐司(東工大)との共同研究。論文投稿中)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Nakamura: "A remark on the Lifshitz tail for Schrodinger operator with random magnetic field"Proc. Indean Acad. Sci. (Math. Sci.). 112. 183-187 (2002)
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[Publications] J.M.Combes, P.D.Hislop, S.Nakamura: "The Wegner estimate and the integrated density of states for some random operators"Proc. Indean Acad. Sci. (Math. Sci.). 112. 31-53 (2002)
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[Publications] A.Martinez, S.Nakamura, V.Sordoni: "Phase space tunneling and multistate scattering"Journal of Functional Analysis. 191. 297-317 (2002)
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[Publications] S.Nakamura, P.Stefanov, M.Zworski: "Resonance expansions of propagators in the presence of potential barriers"Journal of Functional Analysis. (出版予定). (2003)
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[Publications] A.Jensen, K.Yajima: "A remark on L^p-boundedness of wave operators for two-dimensional Schrodinger operators"Communications in Mathematical Physics. 225. 633-637 (2002)
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[Publications] G.P.Zang, K.Yajima: "Schrodinger equations with superquadratic potentials"Contemporary Mathemetics. 307. 319-332 (2002)