2001 Fiscal Year Annual Research Report
グラフおよび離散群上の調和解析と確率モデルのスケーリング極限
Project/Area Number |
13640175
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
洞 彰人 岡山大学, 環境理工学部, 助教授 (10212200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 浄信 岡山大学, 大学院・文化科学研究科, 助手 (00294447)
佐々木 徹 岡山大学, 環境理工学部, 講師 (20260664)
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Keywords | グラフのスペクトル / 調和解析 / 確率モデル / スケーリング極限 / 対称群 / 距離正則グラフ / 中心極限定理 / 代数的確率論 |
Research Abstract |
研究課題名のもとに、グラフ上の調和解析と確率モデルにおけるスケーリング極限について、相互に密接に関連した研究を行った。グラフ上のラプラシアンのスペクトルは、グラフの構造に関する多くの情報を含んでいる。グラフのサイズが大きくなるにつれて、とくに組合せ論的な構造はどんどん煩雑になる。このような複雑な構造の漸近的・統計的特性を読み取るため、代数的確率論の枠組を用いてグラフのスペクトルのスケーリング極限を研究することが、本研究の主旨であった。今年度は、対称群やコクセター群のケーリーグラフ、ハミンググラフやジョンソングラフなどの距離正則グラフを主対象にして、中心極限定理のスケーリングを考えた研究を主に行ってきた。また、これに関連して、ヤング図形のランダムな成長と極限形状にまつわる研究にも着手した。ヤング図形のゆらぎの解析とわれわれの量子中心極限定理が関係している。今年度の最も大きな成果は、ラプラシアンの量子分解の方法がこれらの研究の展開に非常に有効であることを認識できたことであろう。ラプラシアンの量子分解を通して、われわれのグラフのスペクトル解析の研究と、直交多項式論や相互作用フォック空間上の作用素論との結びつきが、明確に見えるようになった。それは、個々のグラフのスペクトル極限の計算を包括するような一般論も視野に入ってきたことを意味する。これらのアイデアを具体化して発展させる研究が、現在進行中である。
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[Publications] A.Hora: "Gibbs state, quadratic embedding, and central limit theorem on large graphs"Quantum Information III. 67-74 (2001)
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[Publications] A.Hora: "The symmetric groups and algebraic central limit theorems"数理解析研究所講究録. 1227. 145-153 (2001)