2001 Fiscal Year Annual Research Report
量子論に現れるハミルトニアンの特異性に関する作用素解析的研究
Project/Area Number |
13640215
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
廣川 真男 岡山大学, 理学部, 助教授 (70282788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 克巳 岡山大学, 理学部, 助教授 (60207082)
山田 裕史 岡山大学, 理学部, 教授 (40192794)
田村 英男 岡山大学, 理学部, 教授 (30022734)
廣島 文生 摂南大学, 工学部, 助教授 (00330358)
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Keywords | 場の量子論 / 赤外特異 / spin-boson model / Wigner-Weisskoph model / Pauli-Fierz model |
Research Abstract |
場の量子論に現れる、量子力学的粒子もしくはスピンとボース場が相互作用した模型において、赤外特異条件の下で基底状態とその基底エネルギーを調べた。 赤外特異条件の下で、赤外発散が起こり基底状態が存在しなくなる場合と、赤外発散を起こさず基底状態が通常の状態空間に収まる場合の違いを把握するため、まず、後者の場合を研究した。 代表的な例として、スピンとボース場が相互作用したモデル(spin-boson model, Wigner-Weisskopf model,など)と非相対論的量子力学的粒子とボース場が相互作用したモデル(Pauli-Fierz model)をとりあげた。Wigner-Weisskopf modelに対しては、この研究の副産物として、原子核の模型としてこのモデルを捉えたとき、相互作用の強さを大きくすると基底状態の遷移が起こることが分かった。この遷移は、場の量子論の超放射的基底状態や量子光学のRabi floppingと関係があると思われる。また、この遷移が起こるときは総粒子数が増すことから、原子核の理論においてボース場はπ中間子を記述すると考えられるので、π中間子凝縮との関わりも想像される。 今年度の研究で、赤外特異条件の下で、どのような相互作用を持った模型では赤外発散が起こらないかを把握したので、次に赤外発散の起こる模型をも研究し、これらの結果から紫外切断を除き、赤外切断と紫外切断の両方を除いた模型が構成できるかを調べて行く(ただし、赤外発散が起こる場合は状態空間の表現を変える必要がある)。さらに、それらの模型に対して基底状態があるかどうかを研究することを今後の課題とする。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Hirokawa: "Remarks on Ground State Energy of the Spin-Boson Model. An Application of the Winer-Weisskoof Model"Reviews in Mathematical Physics. 13・2. 221-251 (2001)
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[Publications] A.Arai, M.Hirokawa: "Stability of Ground States in Sectors and Its Application to the Wigner-Weisskopf Model"Reviews in Mathematical Physics. 13・4. 513-527 (2001)
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[Publications] M.Hirokawa, 0.Ogurisu: "Ground State of a Spin-1/2 Charged Particle in a Two-Dimensional Magnetic Field"Journal of Mathematical Physics. 42・8. 3334-3343 (2001)
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[Publications] F.Hiroshima: "Ground states and spectrum of quantum electrodynamics of nonrelativistic particles"Trans.Amer.Math.Soc.. 353・11. 4497-4528 (2001)
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[Publications] H.T.Ito, H.Tamura: "Aharonov-Bohm effect in scattering by point-like magnetic fields at large separation"Ann.Henri Poincare. 2・2. 309-359 (2001)