2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13640237
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
花輪 知幸 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50172953)
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Keywords | 星形成 / 磁気流体波 / 数値シミュレーション / 分子雲 / 磁気流体力学 |
Research Abstract |
星形成の現場である分子雲では、磁気流体波が大きな振幅をもち、その圧力が分子雲を重力収縮に対し部分的に支えている、と考えられている。本研究では磁気流体波の進化を理論的に調べるため、大規模数値シミュレーションを行った。 数値シミュレーションでは、初期条件として、細長く延びた円筒状の分子雲に沿って伝播するアルフヴェン波を考えた。これは多くの分子雲が細長く延びたフィラメント状の構造を持っていることと、磁気流体波の主成分がアルフヴェン波であることを考慮した結果である。初期のアルフヴェン波が円偏向していて場合は、波長によらず、フィラメント状分子雲の力学的時間尺度の2〜3倍の時間で指数的に減衰した。一方、初期のアルヴェン波が直線偏光している場合は、波長が短く振幅が大きいほど速く減衰した。その結果、どのような振幅・波長の場合も、振幅は時間に反比例して減衰するという結果を得た。円偏向した小振幅の波や、直線偏光した極めて長波長の波は減衰が遅いが、これらは分子雲を支える力が弱い。従って、アルフヴェン波は力学的尺度の2〜3倍程度の時間しか、細長く延びた分子雲を支えることができないという結論が得られた。この減衰はアルフヴェン波が分子雲の密度分布と相互作用し、縦波を放射するためであることも明らかになった。 波長の異なるアルフヴェン波を初期に与えると、波同士の非線形相互作用により、元の波長の和や差に相当する波が生まれることも数値シミュレーションで確認した。元の波や、非線形相互作用で生まれた波の波長が長くなると、自己重力による分裂・収縮が見いだされた。分裂・収縮によって形成されたガスは、回転状で回転する。また初期条件によっては、螺旋状の密度の濃いガス雲や、放射状の突起が形成された。これらと似た構造が、実際の分子雲にも存在することが見いだされた。 これらの結果については学会で報告を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tomoyuki Hanawa, Kazuya Saigo, Tomoaki Matsumoto: "Perturbation Growing in the Main Accretion Phase"The Astrophysical Journal. 558・2. 753-760 (2001)
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[Publications] Naoya Fukuda, Tomoyuki Hanawa, Koji Sugitani: "Linear Sequences of Starless Cores and Young Stellar Objects in the Eagle Nebula"The Astrophysical Journal Letters. (in press). (2002)
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[Publications] 花輪 知幸: "星形成の物理"Journal of Plasma and Fusion Research. 77・8. 755-762 (2001)