2004 Fiscal Year Annual Research Report
モンテカルロ直接数値シミュレーションによる降着円盤の研究
Project/Area Number |
13640241
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松田 卓也 神戸大学, 理学部, 教授 (20026206)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 義次 神戸大学, 理学部, 教授 (30172282)
|
Keywords | 近接連星系 / 星風降着 / 降着円盤 / 数値シミュレーション / 数値流体力学 / モンテカルロ法 / 激変星 / 共生星 |
Research Abstract |
激変星、X線星、共生星、新星などの天体現象は、近接連星系における質量交換で説明される。本研究では、近接連星系におけるガス流の3次元数値シミュレーションを行った。近接連星系での質量交換のモードとしては、星風降着流と降着円盤がある。本年はその両者の研究を行った。 星風降着流とは、一方の星からガスが勢いよく放出され、そのガスの一部が他方の星に引き寄せられて降着する現象をいう。降着星が白色矮星、中性子星、ブラックホールなどのコンパクト天体の場合に、大きなエネルギーが解放され、さまざまなユニークな現象が観測される。 質量放出星から星風として放出されたガスのうち、どのくらいの割合が降着するのかを知ることは、連星系の進化の理論にとって重要なパラメターである。われわれの研究では、質量降着率は星風の速度の関数で、速度の増加とともに、急速に減少することを見いだした。その大きさは、従来、解析的理論で考えられていた量の20%程度であることを見いだした。 質量放出星から放出されたガスの大部分は、連星系外に逃れる。そのときにガスが持ち出す角運動量は、連星系の進化を考える上で重要なパラメターである。本年は、ガスが持ち出す比角運動量の大きさを見積もる3次元数値シミュレーションを行った(投稿中)。その結果は、従来、粒子法で見積もられた量よりも小さいことを見いだした。 共生星は低温の赤色巨星と白色矮星からなる連星系である。赤色巨星から放出される星風は低速で、星風中に形成されるダストに対する放射圧で加速されると考えられている。われわれは、その3次元数値シミュレーションも行った(投稿予定)。その結果、星風の速度によって3つの流れパターンが実現することがわかった。1)L3流からの降着、2)降着円盤とバウ衝撃波の共存、3)バウ衝撃波。1は予想外の流れである。ふつうの考えではL1点からの流れ(L1流)がコンパクト天体の周りに降着円盤を作る。2も予想外の流れである。
|
Research Products
(6 results)