2001 Fiscal Year Annual Research Report
銀河団における相対論的スニヤエフ・ゼルドビッチ効果の研究
Project/Area Number |
13640245
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
伊藤 直紀 上智大学, 理工学部, 教授 (20103939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 智 城西大学, 女子短期大学部, 教授 (00258914)
和南城 伸也 上智大学, 理工学部, 助手 (30327879)
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Keywords | 銀河団 / 宇宙論 / 宇宙背景放射 / 高温プラズマ / 電波天文学 / X線天文学 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下のとおりである。 (1)SZ効果における多重散乱の計算 これまで代表者たちはSZ効果の計算において一回散乱のみを考慮して,計算を行ってきた。その理由は,宇宙背景放射の銀河団における光学的厚みが0.01程度であるためである。しかし,多重散乱の効果を直接計算して,これがどれくらいの値になるかを正確に求めておくことは非常に重要である。代表者たちは,これまでのSZ効果の計算方法を拡張して、SZ効果の2回散乱の効果を具体的に計算した。その際これまでと同じように,Fokkeer-Planckによる展開と衝突項の数値積分積分という二通りの独立な方法で計算を行った。これにより、展開による方法の精度が正確に求められた。今回の計算の結果,二回散乱の効果は一回散乱の効果の0.2パーセント以下であることが判明した。これにより、銀河団のSZ効果においては,代表者たちによる一回散乱の計算結果が実用的には十分であることが判明した。この研究成果はMonthly Notices of Royal Astronomical Societyの論文として印刷公表された。 (2)熱的SZ効果の数値データの解析式による表現 これまでにも,代表者たちは熱的SZ効果の正確な数値結果を解析式により表現してきた。その式は大局的には精度の高いものであったが,部分的に精度が十分でない領域もあった。今回,その欠点を克服した新たな解析式を作成した。その結果はAstronomy and Astrophysicsに近く印刷公表される予定である。この解析式はSZ効果の観測結果の解析において非常に有用であると期待される。
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[Publications] Itoh, N., et al.: "Relativistic corrections to the multiple scattering effect on the Sunyaev-Zel'dovich effect"Monthly Notices of Royal Astronomical Society. 327. 567-576 (2001)
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[Publications] Itoh, N., et al.: "Radiative processes in the intracluster plasma"Astronomy and Astrophysics. (in press). (2002)