2002 Fiscal Year Annual Research Report
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13640252
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
高塚 龍之 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (50043427)
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Keywords | 超流動 / 中性子星 / ハイペロン |
Research Abstract |
中性子星表面温度の観測結果は,通常の冷却機構で説明されるものの他に,もっと早い冷却機構が働いている中性子星の存在を示唆している。ハイペロン混在コアをもつ中性子星は,ハイペロンを含むベータ崩壊プロセスによるニュートリノ放出が可能となるため,速い冷却機構をもつ中性子星の有力な候補となる。ただし,このままだと"冷えすぎ"という問題が生じてしまうが,ハイペロンが超流体になっていると,これによる冷却効果の適度な抑制が作用して観測とつじつまが合う。本研究課題はこの「ハイペロン超流動」を検討するものであり,これに関して得られた本年度の研究実績は次の通りである。 1.ハイパー核情報とも整合する現実的なYN, YY相互作用を用いたG行列計算結果に基づく有効相互作用アプローチにより,ハイペロン混在の自由度を加えた状態方程式を求め,中性子星の質量観測情報とも矛盾しない「ハイペロン混在コアをもつ中性子星のモデル」を得た。また,ハイペロンの混在度や有効質量の密度依存性など,超流動計算に必要な基礎的物理量を導いた。 2.上記ハイペロン混在中性子星のモデルに基づき,また,現実的な^1S_D型対相互作用を採用して,ΛやΣ^-の超流動が中性子星中心部で可能なことを示した。また,ΛやΣ^-超流動の臨界温度や存在密度域を決定するとともに,他の成分(中性子や陽子)の超流動についても併せて検討し,中性子星冷却計算に必要な基礎材料を準備した。 3.通常採用される零温度でのギャップ方程式を有限温度の場合に拡張し,中性子星内部温度への依存性も含めたハイペロン超流動の扱いを実行することにより,有限温度の効果が超流動計算結果に及ぼす影響の吟味を行った。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Takatsuka: "Necessity of extra repulsion in hypernuclear systems : Suggestion from neutron stars"The European Physical Journal. A13. 213-215 (2002)
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[Publications] S.Tsuruta: "Confronting neutron star cooling with new observations"The Astrophysical Journal. 571. L143-L146 (2002)
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[Publications] S.Nishizaki: "Hyperon-mixed neutron star matter and neutron stars"Progress of Theoretical Physics. 108. 703-718 (2002)
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[Publications] 高塚龍之: "有限温度のハイペロン超流動"素粒子論研究. 106. B96-B102 (2002)
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[Publications] 玉垣良三: "核物質中のΣ^-Σ^-^1S_D相関"素粒子論研究. 106. B85-B95 (2002)