2001 Fiscal Year Annual Research Report
液体シンチレーター中の極微量放射性不純物の超高感度分析法の開発
Project/Area Number |
13640254
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白井 淳平 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90171032)
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Keywords | 原子反ニュートリノ / 液体シンチレーター / 放射化分析 |
Research Abstract |
今年度の本研究の目標は、低エネルギーニュートリノ検出実験カムランドで用いる高純度液体シンチレーター中の微量放射性元素を定量分析し、その感度のチェックを行なうことであり、今後の超高感度分析を進めるステップとして位置付けられるものである。 カムランド検出器は平成13年4月に液体シンチレーター純化装置の調整、立ち上げを行い、その後、5月より9月にかけて検出器への液入れ作業が行われた。 液入れ作業前及び作業中にサンプル液を採取し、液成分を蒸発させた後、中性子照射放射化分析を行った。その結果、液中のウラン、トリウムは10^<-14>g/gのレベルかそれ以下で検出されなかった。またカリウムについても10^<-10>g/gのレベルであった。 この結果はこれまでに液体シンチレーターの構成液体について行った誘導プラズマ質量分析法(ICP-MS)の結果とコンシステントであり、本分析法の感度が第1段階として所期の目標に到達していることを示すものである。また検出された放射性元素の量は、カムランド液体シンチレーターが原子炉反ニュートリノ検出実験を行う上で十分高い純度を有することを示すものである。 また、分析感度をさらに向上させるため必要な今後の対策として、(1)中性子束を増やす、(2)照射する試料の量を増やす、(3)ブランクレベルを下げる、の3点の工夫が必要であることが明らかとなった。また鉛210元素の除去を行うことが今後のカムランド検出実験で非常に重要であり、これを定量分析するための新たな手法について検討することが必要である。
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